70年代クラプトンのラスト盤
立秋である。いきなり涼しくなった我が千葉県北西部地方。今日は最高気温は30度止まり。家ではエアコン要らず。窓を開けっ放しにして、室温は30度に至らず。夜になっても涼しい風が吹き抜けていく。とにかく、猛暑続きの毎日。ホッと一息の週末である。
さて、今日は「ジャズの合間の耳休め」。70年代ロックの世界である。とは言っても、今日のアルバムは正確には「70年代ロックの延長線上」。70年代ロックのレジェンドが80年代以降にリリースした好盤の数々を聴き進めている。
ということで、改めて今日のアルバムは、Eric Crapton『Money and Cigarettes』(写真)。僕達は省略して「マネシガ」と呼んでいる(笑)。1983年のリリース。ロック界はパンクブームが去り、AORが下火になり、軽薄短小の80年代MTVの時代へと突き進み始めた頃。ロックは、何をトレンドに何を目標に音作りをしているのか、全く判らない環境になっていた頃。
そんな中、このアルバムを聴く限り、クラプトンは健在であった。アルバム全体を覆う「ゆったりとしたレイドバックな雰囲気」が実に良い。バハマ諸島のナッソーという録音環境の選択がピタリと当たったのだろう。70年代クラプトンをしっかりと踏襲している。70年代クラプトン者として、聴き応えは「満点」。
そして、このアルバム、ゲストメンバーを見渡せば「おおっ」と思う。70年代に入って、スワンプからレイドバックと米国ルーツ・ロックを踏襲してきたクラプトンが、一緒に演奏してみたかった、彼の憧れの米国ルーツ・ミュージックの大御所達を集めて作ったアルバムでもあります。
前の「アナチケ」バンドから、ギタリストのアルバート・リーのみを引き連れ、マッスル・ショールズのドラマーのロジャー・ホーキンズ、ブッカー・TとMG’sのベーシストのドナルド・ダック・ダンのリズム・セクションに、ライ・クーダーを加えて、濃厚な米国ルーツ・ロックを展開しています。
70年代前半でしたら「野趣溢れる」米国ルーツ・ロックがメインになったのでしょうが、このアルバムの録音年は1983年。下火になったAORの雰囲気をほど良くブレンドして、大人の「リラックスした余裕のある」米国ルーツ・ロックに仕上がっています。80年代の『No Reason To Cry』的なアルバムと評した方がいましたが、なるほど、けだし「言い得て妙」ですね。
プロデューサーはアトランティックで南部のR&Bを長くつくってきたトム・ダウド。ダウドはクラプトンの70年代前半の名盤『Layla and Other Assorted Love Songs』のプロデューサーでもある訳で、この『マネシガ』は、80年代の『Layla』を狙ったところもあるなあ、と妙に感心したりします。
振り返ってみると、このアルバムは70年代クラプトンの最後のアルバムだと思います。次のアルバムからは、80年代ロックの妙な雰囲気を取り込んだポップ・ロックに邁進してしまうクラプトン。それでも、この1983年に、実に滋味溢れる、70年代クラプトンの最後のアルバムをものにしました。
クラプトンのディスコグラフィーの中で、あまり目立たないアルバムなんですが(恐らく、この地味なジャケット・デザインの雰囲気でも損をしている様な気がする)、僕は70年代の『Layla』と『No Reason To Cry』とセットで楽しむ、クラプトンの隠れ好盤としてお気に入りの一枚です。
震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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