こんなアルバムあったんや・49
このアルバムのジャケ写を見て、つくづく、偉大なフロント楽器のリーダーのバックを支えるリズム・セクションって大変なんだろうなあ、と思ったりする。
マイルスのバックを支えた、ハービー・ロン・トニーのリズム・セクションとか、コルトレーンのバックを支えた、マッコイ・ギャリソン・エルビンのリズム・セクションとかであるが、今日は後者のコルトレーンの伝説のカルテットのリズム・セクションが、親分のコルトレーン抜きで集ったセッション盤の話題を。
Elvin Jones『Illumination!』(写真左)。1963年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Jimmy Garrison (b), McCoy Tyner (p), Sonny Simmons (as, English Horn), Charles Davis (bs), (William) Prince Lasha (cl, fl)。コルトレーンの伝説のカルテットのリズム・セクションに、アルト(またはイングリッシュ・ホルン)、バリトン、クラリネットの変則3管。
1963年と言えば、コルトレーンの伝説のカルテットからすると、リーダー作で見ると『John Coltrane』から『Live At Birdland』と、モーダルな純ジャズからフリー・ジャズへ急速に展開していった時期。とにかく、モード一色、フロントはコルトレーンの独壇場。バックのリズム・セクションの自由度がどんどん狭められていった頃である。
この『Illumination!』を聴いていると、当時のコルトレーンの伝説のカルテットのリズム・セクションの気持ちが見え隠れして、とても面白い。このアルバムの全体的な雰囲気は、当時のコルトレーン・カルテットの雰囲気の正反対。モード中心のテンション高いインプロビゼーションの連続、応酬で、演奏の雰囲気やアンサンブルを余裕を持って楽しむ雰囲気では無い。
リーダーは生真面目で集中し出したら止まらないコルトレーン。やはり、バックのリズム・セクションとしては疲れるんでしょうなあ。リラックスして、演奏の雰囲気やアンサンブルを楽しみながらのハードバップな演奏をしてみたいなあ、と思うのも無理は無い。
まあ、本当の気持ちは当時の本人達に訊かないと本当のところは判らないが、確かに、このアルバム『Illumination!』に詰まっている演奏の雰囲気は、当時のコルトレーン・カルテットは全く正反対の雰囲気。フロントの楽器構成を一工夫し(絶対にコルトレーン・カルテットに被らない様にしている)、ほんわかムードで、アレンジにも工夫を施し、余裕のあるハードバップな演奏である。
演奏の水準からすると、コルトレーン・カルテットに遙か及ばないかも知れないけれど、アルト(またはイングリッシュ・ホルン)、バリトン、クラリネットの変則3管のほんわかムードのアンサンブルとアドリブ・フレーズと、そのほんわかフロント3管をバックで支える、コルトレーンの伝説のカルテットのリズム・セクションの余裕ある和やかなバッキングがとても良い雰囲気を醸し出している。
当時、この『Illumination!』を聴いて、フロント親分のコルトレーンは何を思ったのだろう。もはや本人に確かめる術は全く無いが、訊いてみたかったなあ。しかし、さすがは生真面目で偉大なリーダー、コルトレーン。これしきのことで、我が道の進む方向を変えることは全く無かったのである。
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