夏はボサノバ・ジャズ・その19 『Gets Au Go Go』
今年の夏は相当な「酷暑」である。我が千葉県北西部地方は、小笠原地方を直撃している台風のお陰(?)で、昨日より、涼しい風が吹き始め、昨日、今日と室温は30度を超えることは無かった。通常の夏の状態にまで気温は下がった感がある。でも、西日本は酷暑が継続しているので、ほんと「これはたまらん」という感じの暑さなのだ。
さて、これだけ酷暑が続くと、通常のジャズを聴くどころでは無い。というか、音楽を聴くどころでは無い今年の酷暑ではあるが、今年もこの季節にやります。「夏はボサノバ・ジャズ」特集。今日から暫くは、「夏はボサノバ・ジャズ」特集で避暑に努めます(^_^)v。
今日のアルバムは、Astrud Gilberto & Stan Getz『Gets Au Go Go』(写真左)。1964年5月は「Cafe Au Go Go」での、1964年10月は「Carnegie Hall」でのライブ録音。ボサノバ路線で当時ブレークしたゲッツと、人気抜群の女性歌手アストラッド・ジルベルトをメインに据えた企画盤。
ちなみにパーソネルは、Stan Getz (ts), Astrud Gilberto (vo), Kenny Burrell (g), Gene Cherico, Chuck Israels (b), Gary Burton (vib), Joe Hunt, Helcio Milito (ds)。なかなかのメンバーを揃えている。
リーダーのスタン・ゲッツが、ボサノバ・ジャズを始めたのは『Jazz Samba』で1962年のこと。1963年には『Getz/Gilberto』で大ブレイク。その大ヒットを受けての、このライブ盤『Gets Au Go Go』である。聴衆の反応を聴いてみても、結構、盛り上がっている。当時、ニューヨークでのボサノバ・ジャズの流行度合いを耳で感じることが出来る。
当時、スタン・ゲッツは、このボサノバ・ジャズに商売的に相当入れ込んでいたらしく、ボサノバ・ジャズに関しては、えげつないくらいに商魂たくましかったらしい。このアルバムを聴いていても、スタン・ゲッツのテナーの音だけ、録音レベルが高い。他の楽器は良く聴かないと聴こえない位、ゲッツのテナーだけが目立っている。
ゲーリー・バートン(ヴァイブ)、チャック・イスラエル(ベース)、ケニー・バレル(ギター)などなど、豪華なバックなんだが、あまりにゲッツのテナーだけが目立って、録音バランスが悪いのがこのアルバムの玉に瑕なところである。
ジャズ者の皆さんが指摘しているが、確かにアストラッドの唄は上手くない。でも、ボサノバという切り口で聴くと、この気怠くアンニュイな雰囲気濃厚のボーカルは実に雰囲気がある。唄のテクニックとしては上手くないところが、ボサノバという切り口では乾いた色気の「揺らぎ」というプラスの効果に跳ねるのだから面白い。
あまりにゲッツが目立つ音作りの為、演奏全体のバランスが悪く、きめ細かさに欠け、アルバム全体の印象は「かなり大雑把」。好盤・名盤の類には及ばないが、当時のボサノバ・ジャズの流行度合いを耳で直接感じることが出来るところは、このアルバムの存在意義のあるところだろう。
ボサノバ路線で当時ブレークしたゲッツと、人気抜群の女性歌手アストラッド・ジルベルトで、「一発」をレコード会社が狙って発売した一枚で、当時は売れに売れたと思う。が、今から振り返ると、この「大雑把な出来」がマイナス評価。でも、ボサノバ・ジャズの個性と雰囲気はしっかりと押さえられていて、たまに聴き流すには丁度良い塩梅の「ボサノバ・ジャズ盤」ではある。
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