昼下がりSP・デュオ盤特集・3
今日もデュオ盤の特集でいきましょう。昼下がりSP・デュオ盤特集の第3弾。今日は、ピアニストのジョン・テイラーとベースのチャーリー・ヘイデンのデュオ盤。
Charlie Haden & John Taylor『Nightfall - The CalArts Sessions』(写真)。John Taylor (p) と Charlie Haden (b) のデュオ。2003年10月、カリフォルニアでのライブ録音。タイトルの「Nightfall」とは「夕方、日暮れ、たそがれ」。そんな優しく美しい響きが詰まったアルバム。
ジョン・テイラーはイギリス・マンチェスター出身のジャズ・ピアニスト。ジョン・テイラーと言えば、僕としては、1973年リリースの『Decipher』を真っ先に思い浮かべる。邦題は『覚醒』。ジャズ者初心者の頃、秘密の喫茶店で教えて貰って、しばらく良く聴いていた。
クリスタルな硬質なタッチで、幽玄さと陰鬱で怪しげな美しさが個性のジョン・テイラーのピアノ。このデュオ盤でも、このジョン・テイラーの幽玄なピアノが全開です。ジョン・テイラーのピアノの音が、タイトルの「夕方、日暮れ、たそがれ」の雰囲気を強く想起させてくれます。
チャーリー・ヘイデンはジャズ・ベースの哲人。思索的で堅実で理知的な響きのベースはこの人独特の個性。考えるジャズ・ベースの哲人である。実はチャーリー・ヘイデンはデュオ好きで、様々なジャズメンとデュオ盤を創作しています。ここでも、ジャズ・ベースの哲人はその個性全開。
チャーリー・ヘイデンの優れたところは、デュオ盤の場合、デュオを組む相手の楽器、個性をしっかり踏まえて、相手に併せたベース・プレイを展開することが出来るところ。
相手をしっかり支え、鼓舞し、時にグッと前へ出る。それが嫌味でもなんでも無く、普通に自然にグッとでる。嫌味の無い主張。音楽家としての人柄が良く出ていると感じる。
しっとりとしているが、演奏の芯はグッと入っていて、意外と硬派で透明感溢れる、いわゆる「大人のデュオ」。タイトル通り、ジャケット写真通りの、優しく美しい静謐なインプロビゼーションがアルバム全体に蔓延している。
ラスト4曲目辺りから、前衛音楽的雰囲気のアブストラクトなパフォーマンスが顔を出す。思わずドキッとする。
スイートな雰囲気だけの日本のレコード会社が企画のピアノ・トリオとは異なり、適度に硬派で適度にビターな「大人のジャズ」。じっくりと耳を傾けるのに値する、隠れた好盤。
このデュオ盤のお陰で、ジョン・テイラーのピアノをもっと聴きたくなった。幽玄さと陰鬱で怪しげな美しさが堪らなく良い。
震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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