音楽喫茶『松和』の昼下がり・25
台風11号は熱帯低気圧に変わりましたが、中国・四国・近畿地方を中心に様々な被害をもたらしました。台風の被害に遭われた地方の方々には心からお見舞い申し上げます。
ここ千葉県北西部地方でも台風の影響がいくつかあって、先週の土曜日から、いきなり気温が上がって真夏の気温。加えて、湿度もグッと上がって梅雨真っ只中の高湿度。思いっきり蒸し暑い日々が続いています。例年、これだけ蒸し暑い日はなかなかありません。
これだけ蒸し暑いと、もう通常の熱気溢れるダイナミックなジャズなど聴いている場合ではありません(笑)。熱気溢れるジャズなどを聴いていたら、汗がぶわっと噴き出てきて、思わず熱中症になってしまいます。音楽喫茶『松和』のお客さんが熱中症になっては困るので、昼下がりにかけるアルバムを慎重に選びます。
見た目に涼しく、聴いて涼しいアルバムが一番良いでしょう。今日、選んだアルバムは、これ。June Christy『Something Cool』(写真)。女性ボーカルのアルバムです。1953年、1955年の録音が中心。バックの演奏はスタン・ケントン楽団。知的で洗練されたサウンドが特徴。
僕はジャズ・ボーカルは苦手なジャンルなんですが、このクリスティのアルバムは学生時代の頃から聴き親しんでいます。とにかく聴き心地が良い。クリスティの心地良いハスキー・ヴォイスの響き、クールな歌声、ボーカルの取り回しは知的で清楚。感情にまかせて、シャウトしたりラウドな響きを繰り出すことは全く無い。
この『Something Cool』では、そんなクールなクリスティの歌声が、知的で洗練されたスタン・ケントン楽団をバックにアルバム全編に渡って溢れている。楽曲のテンポもミッド・テンポからスロー・テンポなものに絞られており、アップ・テンポな熱気あふれる楽曲は皆無。
冒頭のタイトル曲「Something Cool」を聴けば、そのクリスティの歌声の特徴が良く判る。実に涼しげであり、実にクールだ。それでいて、ボーカルにはシッカリと芯が入っていて、清々しい力感に溢れ、聴き応え十分である。それでも決して熱くはならない。あくまで「クール」である。
なお、このアルバムは2年ほどの間隔をおいて録音されたモノラル盤とステレオ盤の2種類があって、それぞれ微妙に歌声が異なるんですが、現在、流通しているリイシューCDは、モノラル、ステレオ両方の録音が併せて収録されており、それぞれ好みによって聴き分けることが出来ます。
ジャケットも涼しげですね。モノラル盤とステレオ盤とジャケットは二種類あります。僕がジャズ者初心者の頃から親しみがあるのは、左のモノトーンのもの。ジャケ絵のタッチは古風でちょっと「ひく」かな(笑)。カラーのものはジャケ絵のクリスティが実に可愛らしく描かれていて良い感じだ。僕はこのカラーのジャケットがお気に入り。
これだけ蒸し暑い夏の昼下がり、我が音楽喫茶『松和』で流すアルバムは、見た目に涼しく、聴いて涼しいアルバムが良い。今日の蒸し暑い夏の昼下がり、我が音楽喫茶『松和』で流れていたアルバムは、June Christy『Something Cool』。涼しげでクールな好盤です。
震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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