増尾好秋のフュージョン名盤
僕がジャズを本格的に聴き始めたのが、1978年、大学1回生の頃である。フュージョン・ジャズ全盛の時代で、大阪のどこのジャズ喫茶もフュージョン・ジャズ中心だった。FMでもジャズと言えばフュージョン。
ジャズを聴き始めて、当然の様に日本のジャズメンに興味を持ったが、当時、ジャズ者初心者がすんなり知ることが出来る有名どころは、渡辺貞夫、渡辺香津美くらい。FM誌で、ソニー・ロリンズのバンドに参加していた日本人ギタリストがいる、という記事を読んだ。増尾好秋のことである。
へぇ〜そんな日本人ギタリストがいるんや、聴いてみたいな〜、と思っていた矢先に、このアルバムがリリースされた。増尾好秋『Sailing Wonder』(写真左)である。
ちなみにパーソネルは、増尾好秋 (g), Eric Gale (g), Dave Grusin (syn), Richard Tee (p,key), Mike Nock (syn), Gorden Edwards (b), T.M. Stevens (b), Steve Gadd (ds), Howard king (ds), Al Mack (ds), Bachiri (conga), Warren Smith (per), シャーリー増尾(vo), Judy Anton (vo)。
注目は、伝説のフュージョン・バンドSTUFFのメンバーが4人(Eric Gale, Richard Tee, Gorden Edwards, Steve Gadd)、参加していること。フュージョン・ジャズのキーマン、Dave Grusinもいる。いやはや、よくここまで集めたものだ、というか、よく集まってくれたものだ。この集めた面子を見ても、増尾好秋の実力のほどが見て取れるというもんだ。
これだけのフュージョン・ジャズのカギとなるジャズメンを集めているのだ。このアルバム『Sailing Wonder』の内容の充実度が想像出来る。が、当時、ジャズ者初心者の僕は、そんな凄いパーソネルを誇るフュージョン盤とは全く知らずに、このアルバムを手にした。
冒頭のタイトル曲が実に良い雰囲気。涼しげな波の音のSEからスタート、その波の音に被るように、リチャード・ティーのピアノが入ってくる。う〜んたまらん。メロディアスでメロウな増尾のエレギ、そして、エリック・ゲイルの小粋なカッティング、ボトムを支えるゴードン・エドワーズのベース。むっちゃ良い雰囲気で、とっても美しく爽快な曲です。
2曲目「Treasure Island」はリラックスした楽園ソング。ちょいとレゲエっぽいリズムからスタートして、女性コーラスが良い感じで入ってきます。増尾の奥様シャーリーとジュディ・アントンなんですが、これがまた良い雰囲気を醸し出してくれます。
ここでもエリック・ゲイルの小粋なカッティングが聴けて、思わず、足でリズムをとってしまいます。そしてドラムは、もうこの縦ノリのドラムを聴けば誰だか判りますね。スティーヴ・ガッドです。
冒頭の2曲を聴けば、後はもう楽しく爽快なフュージョン・ジャズのオンパレード。テクニックに任せた力業的な曲もあるにはあるんですが、それはクロスオーバー・ジャズ時代の名残で「ご愛嬌」。
さすが、フュージョン・ジャズのカギとなるジャズメンを集めに集めたアルバムである。良い響き、良いフレーズの曲ばかり。アレンジも冴えていて、増尾好秋のギターが全開です。フュージョン・ジャズの代表盤の一枚に挙げでも良い内容です。
このアルバムは、大学時代に「行きつけの喫茶店」で繰り返しかかった曲。冒頭のタイトル曲を聴けば、1979年から80年の頃の大学前の「行きつけの喫茶店」の情景が浮かんできます。良い喫茶店だったなあ。僕のジャズ者初心者時代の「かけがえの無い場所」でした。
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