1963年のJM 『Ugetsu』
最近、ウェイン・ショーターのアルバムを聴き直しているんだが、ショーターと言えば、若かりし頃、Art Blakey and The Jazz Messengersの音楽監督として活躍した時期がある。1960年代前半のこと。マイルス・バンドに加入する直前の頃である。
特にこのジャズ・メッセンジャーズの三管フロント黄金時代の印象的なアルバムとして、僕が勝手に呼んでいるんだが「三管フロント・リバーサイド3部作」がある。『Ugetsu』『Caravan』『Kyoto』の3枚。この3枚のアルバムは、3管のユニゾン&ハーモニーのアレンジを含めて、音楽監督のショーターの才能が遺憾なく発揮された秀作揃いである。
今日は、この「三管フロント・リバーサイド3部作」の最初の一枚、Art Blakey and The Jazz Messengers『Ugetsu』(写真左)について語りたい。
1963年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds), Wayne Shorter (ts), Cedar Walton (p), Curtis Fuller (tb), Freddie Hubbard (tp), Reggie Workman (b)。バードランドにおけるライブ録音。ジャズ・メッセンジャースの三管フロント黄金時代のパーソネルである。
タイトルの「Ugetsu」は日本の古典「雨月物語」の「うげつ」。6曲目には「On the Ginza」、つまり「銀座にて」という曲がある。1961年正月の初来日以来、ジャズ・メッセンジャーズは完璧な日本贔屓になっていた。よっぽど、日本での公演や接待に感じ入った様で、このアルバムにも、日本にちなんだ曲が2曲収録されている。
1950年代後半のジャズ・メッセンジャーズ黄金時代から、ベニー・ゴルソンという優れた音楽監督が去り、代わって、ウェイン・ショーターという若い才能を加え、トランペットは、リー・モーガンからフレディ・ハバード、ピアノは、ボビー・ティモンズからシダー・ウォルトン、ベースは、ジミー・メリットからレジー・ウォークマンに交代して、サウンドはモーダルで新鮮なものに変化していった。
オリジナルの全6曲中、半分の3曲がショーター作の曲。このショーターの曲が、ジャズ・メッセンジャーズの音に新しい響きを与えている。本当に良い曲書くなあ。そして、音楽監督としてのショーターのアレンジがこれまた良い。1950年代後半、前音楽監督のベニー・ゴルソンが育んだ「メッセンジャーズの音」をしっかり踏襲しつつ、新たな洗練された響きを織り込んでいる。
このゴルソンが育んだ「メッセンジャーズの音」をしっかり踏襲しつつ、というアレンジが粋なのだ。ショーターの類い希なアレンジ・センスを感じる。そして、三管フロント、トランペット、テナーサックス、トロンボーンの特質を活かした、モダンなユニゾン&ハーモニーが憎い。
良いハードバップ盤です。新しい響きを織り交ぜ、当時のジャズの最先端を行く音世界は、ジャズ・メッセンジャーズの面目躍如です。三管フロントのジャズがこんなにモダンな響きを獲得するとは思いませんでした。アレンジの才と演奏者の才。それぞれが上手く噛み合った好盤です。
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