公民権運動に呼応したアルバム
最近、ナチス・ドイツのユダヤ人排斥の歴史にダイレクトに触れる機会があって、その時、併せて、米国の黒人差別の問題についても考えさせられた。
ジャズはこの黒人差別の問題にダイレクトに関係した時代があり、米国での「公民権運動」に呼応して、黒人問題に言及したアルバムを曲を世に問うた。1960年代全般にかけて、もう少し具体的に書くと、キング牧師の「公民権運動」に併せて盛り上がり、キング牧師の暗殺以降、それぞれが身の危険を感じて衰退した。
そんなジャズメンの中で、急進派として、「公民権運動」に呼応した、様々な黒人差別への反対運動を繰り広げたのが、レジェンドとなった伝説のドラマー、マックス・ローチ(Max Roach)。彼は黒人差別への反対運動の一環で、黒人問題に言及したアルバムをリリースしている。
そんなアルバムの中でいの一番に紹介したいのが、Max Roach『Max Roach's Freedom Now Suite - We Insist!』(写真左)である。1960年8月の録音。ちなみにパーソネルは、Booker Little (tp) Julian Priester (tb) Walter Benton (ts) Coleman Hawkins (ts) James Schenck (b) Max Roach (ds) Abbey Lincoln (vo)。パーソネル的には新旧入り乱れてのメンバー構成である。
まずは改めてマックス・ローチの経歴をご紹介すると、1924年米国ノースカロライナ州に生まれる。1943年 にコールマン・ホーキンスのグループで活躍。以降、ビ・バップ時代より、チャーリー・パーカー、バド・パウエル、クリフォード・ブラウンなどと活動した。
1950年代半ばになると、チャーリー・パーカーやクリフォード・ブラウンなどの相棒が次々と他界。ドラッグやアルコールに溺れるようになるが、最初の妻アビー・リンカーンさんの手助けを得て復活。 1960年代、フリー・ジャズの流れの中で、黒人問題を軸にしたアルバムなどを発表した。
この黒人問題を軸にしたアルバムの中で、当時の嫁はんだったアビー・リンカーンと発表した名盤が『We IInsiist!』である。当時、米国での「公民権運動」を勇気付けた傑作。「シット・イン」を 模したアルバム・ジャケットは迫力がある。
僕は学生時代、このアルバムを初めて聴いた時は「おったまげた」。なんという迫力、なんという主張。これが鑑賞用音楽かといえば、正直、疑問を感じるが、これはこれで、当時、ジャズの使命であり、ジャズの果たすべき役割であった。
このアルバム、演奏内容はテクニック溢れる素晴らしい演奏なのですが、悲鳴のようなアビー・リンカーンのボーカルとか、フリー・ジャズ的要素が強く、音楽による思想の具現化として、アフロニズムを強調した作品や抽象的な作品が多いことから、ジャズ初心者の方には、ちと辛いかと。聴くときには心して聴いてくださいね(笑)。
加えて、ステレオにて大音量で聴く時もご注意を。昨今の物騒な世の中、アビー・リンカーンの悲鳴の様な叫びの部分、大音量だと、近所から警察に通報されてパトカーが飛んでくるかもしれません(笑)。
★震災から4年1ヶ月。決して忘れない。まだ4年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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このブログのもうひとつの楽しみは、「おお、久しぶりに聞きたいなあ」という気持ちにさせてくれるところでもありますね。^^
ろくに聞かないで書きなぐる?(~_~;)評論家の批評とは違い、ご自分が楽しまれたものだけを時代背景をふくめ実に楽しくご紹介されるのは結構ムズカシイことでもありますね。^^
私は近年は「クラブ系DJ」といわれる若い世代のジャズセンスにかなり刺激を受けています。
彼らは自分の耳で、「定番」などをあまりこだわらずに「今聞いて楽しめる音」としての紹介をしてくれるのでそこが楽しみでもあります。
特に、これまであまり注目されなかった60年代~70年代あたりのブルーノートの再発見は興味がつきません。
そんな彼らのサイトで知った「Rock Candy Funk Party」というグループが
たまらなくグッ!で(~_~;)最近の掘り出しモンの1枚になっています。^^
投稿: おっちゃん | 2015年5月10日 (日曜日) 09時03分