ジャズ・ピアノのスタイルの基本
昔、クラシック・ピアノを8年間習っていたこともあって、ジャズにおいても一番好きな楽器はピアノである。自分でもある程度のレベルまで弾き込んでいたのと、最後の1年間、ジャズ・ピアノの基礎を教えて貰っていたことがベースになって、ピアノのプレイの良し悪しや難易度などは、他の楽器よりは体感できる。
ジャズ・ピアノにも、様々なスタイルがあるのだが、「これが決定打」というスタイルは無い。モダン・ジャズ・ピアノの基本は、やはりバド・パウエルのスタイルだろう。ジャズ・ピアノのスタイルに限定すれば、パウエルのスタイルが基本にあって、その対極として、ビル・エバンスのスタイルがあると感じている。そして、そのどちらのスタイルも甲乙付けがたい。様々なジャズ・ピアノを聴き進めていくと、必ず、基本に戻りたくなる時がある。そんな時はやはり、バド・パウエルだ。
バド・パウエルに戻る時に聴くアルバムは、Bud Powell『Jazz Giant』(写真左)。1949年2月の録音と1950年2月の録音の2セッションを併せたアルバム。ちなみにパーソネルは、Bud Powell (p) をリーダーとして、1949年2月の録音は、Ray Brown (b), Max Roach (ds)、1950年2月の録音では、Curley Russell (b), Max Roach (ds) が参加している。
冒頭の「Tempus Fugue-it」を聴けば、このバド・パウエルのピアノのスタイルが良く判る。余計な装飾が全く無い、スピード感溢れるストレートなアドリブ・フレーズ。どうやって弾いているんや、と思わず唸りたくなる、聴くだけでは判らない高度なテクニック。甘さを排除したストイックなアレンジ。ジャズ・ピアノがアーティステックなレベルまでに昇華された素晴らしい演奏である。
この「Tempus Fugue-it」で提示されるバド・パウエルのピアノ・スタイルは、2曲目の「Celia」以降もしっかりと踏襲される。3曲目の「Cherokee」の弾き回しは、ジャズ・ピアノとしての一つの指針となるものだろう。4曲目の「I'll keep Loving You」については、ジャズ・ピアノとしてのバラード演奏としてのひとつの好例として聴かれるべきもの。
こうやって、この『Jazz Giant』を聴き直して見ると、やはり、ジャズ・ピアノとしての基本がギッシリ詰まった好盤ということが言える。つまりは、何時になっても、21世紀の今になっても、この『Jazz Giant』は、ジャズ・ピアノのスタイルの基本として、避けては通れない、必ず定期的に再確認されるべきアルバムである。
今回もまたまたバド・パウエルに戻っている。『Jazz Giant』を聴きながら、ジャズ・ピアノのスタイルの基本を確認している。この基本を確認することによって、最近の新しいジャズ・ピアニストのスタイルも十分に理解することができるのだ。
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