リトルとの初邂逅『Far Cry』
昨日、早逝の天才トランペッター、ブッカー・リトルについて語った訳だが、リトルのリーダー作も良いが、早逝の限りなくフリーで個性的なアルト奏者、エリック・ドルフィーとのコラボの方が僕には気になる。ということで、今日はこの盤をご紹介。
LP時代には「盟友ブッカー・リトルとの初邂逅」なんて文字が帯に踊っていたりした盤である。Eric Dolphy『Far Cry』(写真左)。1960年12月21日の録音。この盤が正真正銘、エリック・ドルフィーとブッカー・リトルとの出会いである。
ちなみにパーソネルは、Booker Little (tp), Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Jaki Byard (p), Ron Carter (b), Roy Haynes (ds)。今の目から見れば、素晴らしい人選である。限りなく最先端でフリーな演奏をいともたやすく実現してしまう優れもの達の面々でパーソネルが構成されている。
冒頭の「Ode To Charlie Parker」から、エリック・ドルフィーの摩訶不思議な、捻れた様にスクエアにスイングするフルートが全開。そんなエリック・ドルフィーのフルートに絡むように、モーダルに吹き進めていくブッカー・リトルのトラペット。決して、奇をてらったフレーズは無いのだが、ドルフィーのフルートに絡みつくリトルのトランペットは実に妖艶である。
2曲目の「Mrs. Parker of K.C.」のリトルのトランペットはオーソドックスに溌剌としていて、思わずハッと聴き惚れる。そんなリトルのトランペットが、ドルフィーの一糸乱れぬユニゾン&ハーモニーを展開する。リトルのペットにドルフィーのアルト。相性抜群の二人である。
このドルフィーとリトルの双頭フロントは、自由度溢れるモーダルなフレーズを連発しながらも、決して小難しくない、逆に判り易いインプロビゼーションを展開する。このインプロビゼーションが絶品なのだ。
リトルのトランペットは正統派なもので、決して奇をてらったものでは無い。逆に、ドルフィーのアルトやバスクラは明らかに捻れた様にスクエアにスイングし、摩訶不思議なフレーズを繰り出す。そんな正反対の性質をした二人がコラボすると、相性バッチリ、一糸乱れぬユニゾン&ハーモニーを繰り出し、限りなくフリーでモーダルな、尖った純ジャズを展開する。
このドルフィーの『Far Cry』は、そんなブッカー・リトルとエリック・ドルフィーの出会いのアルバムである。以降、この二人は双子の兄弟の様に共演を続け、共にセッションに参加する。その双子の兄弟の様な関係は、ブッカー・リトルが、1961年10月5日、ニューヨークで急逝するまで続くのだ。
そして、ドルフィーは、リトルが逝去した3年後、1964年6月29日にベルリンで客死する。リトルは享年23歳、ドルフィーは享年36歳。早逝の二人であった。
この二人が早逝すること無く、今の時代を生きていたとしたら、リトルは77歳、ドルフィーは87歳。ちょっと現役では厳しい年齢やなあ。でも、二人があと20〜30年ほど長生きだったら、恐らく、ジャズ界のトレンドは大きく変わっていただろう。そんな確信に満ちた「強い想い」を持たせてくれる、そんなリトルとドルフィーのコラボである。
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