こんなアルバムあったんや・42
ジャケットを見てもピンとこない。そう、僕はこのアルバムの存在を知らなかった。Tommy Flanagan『Positive Intensity』(写真左)。邦題は『白熱』。CBS/Sonyからリリースされたトリオ盤である。
1976年1月と10月の録音。ちなみにパーソネルは、Tommy Flanagan (p), Ron Carter (b), Roy Haynes (ds)。面白い組合せだ。1970年代後半、CBS/Sonyからのリリースで、ベースがロンとくれば、ドラムはトニーなんだが、このアルバムは違う。ロイ・ヘインズである。
収録曲は全10曲。ロン、トミフラ、そして、プロデューサーのテオ・マセロの自作曲3曲以外、残りの7曲はスタンダード曲。フラナガンの自作曲は「Verdande」。かのフラナガンの有名盤『Overseas』からの再演である。これは興味津々である。
このトリオ盤を聴き通して感じるのは、ロイ・ヘインズの元気のよいドラミング。とにかくバッシャバッシャと叩きまくる。1970年代後半、商業ロックが幅を効かせていた時代。ジャズもリズム・セクションがガンガンにいってもおかしくない時代。これはこれで時代を感じるドラミングではある。
もともと、トミフラ(トミー・フラナガン)はバップ・ピアニストである。いぶし銀の様なサイドメンでのプレイが良い、トミフラはサイドメンとしてより輝く、などと誤解を生むような評価もあったが、トミフラはバップ・ピアニストである。ガンガンと歯切れの良いタッチで、バリバリ弾きまくるのがトミフラのスタイル。
そして、当然、リーダー作の場合は、トミフラはガンガン前へ出る。そして、トミフラはアドリブ・フレーズが多彩でバリエーションが豊か。トミフラが弾いている以上、アドリブ・フレーズで飽きることは無い。特に、スタンダード曲の場合にその傾向が強い。よって、トミフラはスタンダード曲を題材とする時、よりそのアドリブが惹き立つ。
このアルバム『白熱』でも、そのトミフラの個性は際立っている。そして、このアルバムでのロンのベースはなかなか良い。よく話題になる、ロンのベースのピッチもまずまず合っていて、ロンのアドリブ・フレーズが小気味よく響く。
僕はトミフラがバリバリ弾きまくっている分、ロイ・ヘインズの元気なドラミングは気にならない。このアルバムは、このロイ・ヘインズの元気なドラミングを良しとするか、駄目とするかで、評価が分かれるだろう。この盤でのトミフラの出来は良い。1970年代後半独特のトリオ盤として、僕はこの盤が気に入っている。
ジャケットのデザインは「やっつけ感」が満載で、感心できる出来では無い。このジャケットだと触手は伸びないだろう。このアルバムの内容を知ってこそ、このアルバムには触手が伸びる。
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