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2015年2月28日 (土曜日)

ガーランドのブルース曲集 『Red in Bluesville』

今日、整骨院へ向かう道すがらで考えた。今までのジャズ者生活の中で、お気に入りのジャズ・ピアニストは誰だろう。チック・コリア、ビル・エバンス、キース・ジャレット、オスカー・ピーターソン、ハービー・ハンコック、などは、正式なリーダー作については、ほぼコンプリートしているのだが、そこに、このピアニストの名前も加わることを知った。

そのピアニストとは「レッド・ガーランド(Red Garland)」。そう言えば、判り易いジャズ・ピアノは、と問われれば、確かに「レッド・ガーランド」の名前を挙げるなあ。プロ・ボクサーの経験があったり、マイルスの50年代伝説のクインテットに在籍したりと、様々な逸話にも事欠かないガーランド。

ビートに乗った左手のブロック・コードと、そのブロック・コードの上で、軽やかにメロディーを奏でる右手のシングル・トーン。実にシンプルで味とコクのあるジャズ・ピアノを聴かせてくれる。ガーランドは、いつの時代も自分の演奏スタイルを変えることはなかった。

故に「金太郎飴的マンネリ・ピアノ」と揶揄されることもあるが、彼の左手のブロック・コード+右手のシングル・トーンは、 その演奏を聴いていて実に分かりやすく、実に聴きやすい。しかも、演奏スタイルがシンプルな故に演奏のアラが見え易いのであるが、ガーランドはどのリーダー・アルバムをとってみても、その演奏レベルは一定の水準以上にあり、駄作がないのは立派だ。
 

Red_in_bluesville2

 
ガーランドのピアノの特徴である「スタイルは不変、演奏のレベルも水準以上」となると、 困ったことに、ガーランドのアルバムはどのアルバムを聴いても同じ、ということになるのだが、確かに、ガーランドのアルバムは、どれをとってもそこそこの演奏が聴ける。ということは、ガーランドについては、何かのテーマや特徴をもって、アルバムを選ぶことになる。

今日選んだガーランドはこのアルバム。Red Garland『Red in Bluesville』(写真左)。1959年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。ガーランドお得意のトリオ編成。

このアルバムはブルース調の曲を集めたアルバム。ガーランド・トリオの「リズムの要」で、毎度おなじみのドラムのアート・テイラーと、本作には珍しく、ベーシストとしてサム・ジョーンズが参加している。手数を抑えた、いぶし銀の様な彼らのサポートが、ガーランドのシンプルなピアノを更に際立たせる。

ガーランドは、バラードの様なスローな曲調よりは、ハッピースインクで軽快な曲や、歩く様なミディアムテンポの曲の方が、彼のピアノの右手の特徴に合うのでは、と僕は思っている。そういう観点では、1曲目の「He's a Real Gone Guy」の軽快なテンポ、ミディアムな3曲目の「M Squad (Theme)」が僕のお気に入り。

レッド・ガーランドの作品の中で比較的地味なアルバムで、なかなかジャズ・ピアノ入門本には挙がらないのだけれど、内容は非常に素晴らしい。特に、ジャズ者初心者の方にお勧めです。落ち着いた小粋なジャズ・ブルース・ピアノが楽しめます。
 
 
 
★震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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