『The Complete In A Silent Way Sessions』Disc3
今日は、評判が悪い割に意外と聴きどころがある、Miles Davis『The Complete In A Silent Way Sessions』のDisc3について語りたい。3枚組ボックス盤のラストである。
Disc3の収録曲は以下の通りになる。前半の2曲が1969年2月のセッション。後半の2曲が、かの名盤『In a Silent Way』のオリジナル・バージョンが収録されている。
1. The Ghetto Walk unreleased
2. Early Minor unreleased
3. Shhh/Peaceful/Shhh" (LP Version)
4. In a Silent Way/It's About That Time/In a Silent Way (LP Version)
まずは冒頭2曲、1969年2月のセッションを聴いていて興味深いのは、ドラマーがトニー・ウィリアムスの代わりにジョー・チェンバースが入っていること。ジョー・チェンバースは1942年生まれだから、このセッションの参加時は27歳の若さである。意外とエレ・マイルスにフィットしたドラミングで、なかなかのものである。
この冒頭の2曲は未発表音源である。まあ、この2曲も、マニアな評論家やベテラン・マイルス者の方々からすると、ブートで既に聴いていると言うかもしれないが、我々の様なブートに無縁なマイルス者からすると、この未発表音源は実に有り難い。しかも、なかなか内容のある演奏だから言うこと無しである。
ラスト2曲は『In a Silent Way』のオリジナル・バージョン。このアルバムは、マイルス者の方々であれば、絶対に持っているべき、エレクトリック・ジャズの大名盤である。しかし、被って損したと思うのは早計である。
このボックス盤の音源は、DSDリマスタリングが施されているようで、この『In a Silent Way』の演奏についても音質が良い。この音質であれば、以前入手したアルバムと被っても、持っていたい音の良さである。
そして、この『In a Silent Way』のオリジナル・バージョンを聴いて思うのは、エレクトリック・マイルスの素晴らしい演奏のさることながら、テオ・マセロの編集の妙の素晴らしさを再認識する。実に巧みな編集で、硬軟自在、抑揚の効いた、躍動感と静謐感を相見えた、唯一無二なエレクトリック・ジャズに仕上げている。
このテオ・マセロのテープ編集についての事実を知ったとき、LPの収録時間に併せつつの編集だったんだろうが、ジャズにも編集の妙があるのには驚いた。まあ、編集された音源なので、この『In a Silent Way』のアルバムに収録されている音源は、即興を旨とするジャズとは言えない。オリジナル音源の「編集の妙」を受け入れるかどうかで、このアルバムの評価は分かれるだろう。
マイルスのCD3枚組ボックス盤『The Complete In A Silent Way Sessions』は意外と楽しめるボックス盤である。特に、ブートに無縁のマイルス者にとっては、意外とお買い得なボックス盤では無いだろうか。音の良さだけとっても、僕はなかなかのものと評価している。
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