ミスマッチな組合せが妙のXmas盤
ジャズって面白いもので、パーソネルを見て、その参加したそれぞれのジャズメンの演奏スタイルを鑑みて、どう考えてもミスマッチで「こんな組み合わせは聴きたくは無いな、聴いたってロクなことは無い」と思うことがたまにある。
しかし、実はそんなミスマッチ風の組合せにこそ「組合せの妙」的な名盤が生まれることが良くある。ジャズを聴く時、理屈や先入観って危険。こんな時、ジャズって本当に柔軟な音楽だなって、改めて感心したりする。
今回、ご紹介するケニー・バレルのクリスマス・アルバムも、その「組合せの妙」のひとつだろう。ブルージーで黒くて骨のあるバレルのギターが、どうしたらクリスマス・ソングと合うのか。クリスマス・ソングを弾くケニー・バレルが想像出来ない(笑)。
その問題のアルバム(笑)が、Kenny Burrell『Have Yourself a Soulful Little Christmas』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Kenny Burrell (g), と、Richard Evansのアレンジ&指揮のオーケストラ。オーケストラをバックに、ケニー・バレルがギターでクリスマス・ソングを弾きまくる、といった趣向。
誰だって最初はそう思うだろう。ブルージーな深夜のイメージがピッタリのバレルのギターが、厳かでポピュラーなクリスマス・ソングに合うわけが無い。それが、どうしてどうして。聴いてみると、これが結構、ピッタリなんですよ。
確かにお日様の光を感じながら聴くと健康的すぎて、ちょっと違和感があるけど、冬の夜、それも深夜に近い「夜の静寂の時間帯」になると、これが周りの雰囲気にピッタリなのだ。夜のクリスマスの雰囲気にピッタリって感じで、実に良い感じなのだ。
アレンジが良い。バレルのブルージーなギターが、クリスマス・ソングを演奏する上での長所を引き立てつつ、短所をカバーするという、なかなか考えたアレンジである。特に、ブラスのバッキングの使い方が良くて、要所要所でブラスのアクセントが効いて、全編、飽きが来ない仕掛けとなっている。
アルバムのトータル時間も約37分と適当な長さ。長々と垂れ流されるクリスマス・ソングには辟易する。全12曲、トータル時間37分は適当。良い雰囲気やねえ、良い感じやねえ、と感心したところで終わり。もうちょっと聴きたいなあ、と思わせる所で終わる。これくらいの長さがちょうど良い。
ブルージーで黒くて骨のあるギターが個性のケニー・バレルのクリスマス・アルバム。どうにも合わない組合せに感じるのですが、意外と結構良いのですよ、これが。是非、ご一聴を・・・。
でも、このジャケット・デザインは絶対に「引く」なあ(笑)。このジャケット・デザインだけはいかんなあ。
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