ロリンズ自然体のフュージョン盤 『Don't Ask』
2008年から延々と続いているのであるが、ソニー・ロリンズのリーダー作の聴き直しを再開した。再開は1970年代終盤のアルバムからである。今回のアルバムは、Sonny Rollins『Don't Ask』(写真左)。
1979年5月の録音。ちなみにパーソネルは、Sonny Rollins (ts, lyricon), Mark Soskin (p, key, syn), Larry Coryell (el-g), Jerome Harris (el-b), Al Foster (ds), Bill Summers (conga, per)。ギター好きのロリンズは、このアルバムで、エレギの鬼才、ラリー・コリエルを選んでいる。
コリエルを選んで、さぞかしハードなエレ・ジャズが展開されるかと思いきや、実にポップな純ジャズが展開される。このアルバムのポップさは、ロリンズのリーダー作の中でも屈指のポップさ。聴き心地の良いこと、この上無し。歌心満点のロリンズのブロウが映えに映える。
ロリンズのマイルストーン第8作。「Easy Living」以来2年ぶり。1979年当時は、ジャズ界はフュージョン・ジャズのピーク。ソフト&メロウなフュージョン、聴き易さ満点のエレ・ジャズが席巻し、そんな中でのロリンズのリーダー作である。しかし、さすがはロリンズ。フュージョン・ジャズには染まらなかった。
冒頭の「Harlem Boys」が実に良い雰囲気を醸し出す。聴き易いポップなフレーズがフュージョンっぽいが、ロリンズは決して、フュージョンに迎合しない。バックのリズム・セクションも同じだ。叩き出すリズム&ビートはしっかりとした純ジャズ基調。ジェローム・ハリスのエレベとアル・フォスターのドラムが意外と硬派に純ジャズなビートを叩き出す。
エレギの鬼才、コリエルの参加は2曲目から。2曲目はこれが聴きもの。コリエルとロリンズのデュオ演奏。コリエルの鋭く素早い反応のギター・フレーズに対して、ロリンズがしっかと受け止めつつ、ロリンズ節を前面に押し出して、堂々と応じているところが実に良い。横綱相撲のロリンズが悠然と吹きまくる。
そうそう4曲目の有名スタンダード曲「My Ideal」もコリエルとロリンズのデュオ演奏。ロリンズの悠然としたブロウに、エレギの鬼才、コリエルの切れ味の良いエレギが反応素早く応える。悠然自若としたロリンズに、エレギの鬼才、コリエルの切れ味鋭いフレーズが寄り添うように伴奏する。これも「聴きもの」。
このアルバムのロリンズは、当時、大流行したフュージョン・ジャズに迎合すること無く、純ジャズな演奏を繰り広げるが、演奏の雰囲気は実にポップ。聴き易く、心地良く、耳当たりが良い。そういうところはフュージョン・ジャズ。演奏するフレーズの雰囲気だけがフュージョン・ジャズの「ええとこ取り」をしている。
ロリンズの個性が全開、ジャズのトレンドを超越した、ロリンズ節の世界がこのアルバムに満載です。ロリンズの自然体のジャズ。ロリンズの自然体のフュージョン・ジャズでしょう。とてもポップな演奏で、ジャズ者の方々以外にも、十分にアピールする演奏集だと思います。
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