圧倒的演奏力なジャズロックです
ジャズロック、および、クロスオーバー・ジャズの傑作と言い切って良いだろう。まだ、ロック小僧だった頃、このアルバムを初めて聴いた時、頭の中に衝撃が走った。そして、ジャズ畑のミュージシャンのテクニックの高さに驚いた。
1972年9-10月ニューヨーク及びロンドンで録音。1973年のリリース。The Mahavishnu Orchestra『Birds of Fire(邦題:火の鳥)』(写真)。ジョン・マクラフリン主宰のマハヴィシュヌ・オーケストラの第2作。 ちなみにパーソネルは、Billy Cobham (ds), Rick Laird (b), John McLaughlin (g), Jan Hammer ( el-p,ac-p,syn), Jerry Goodman (vln)。
凄まじいテンションの高さと演奏力の高さ。圧倒的演奏力を持って、複雑な曲をいとも簡単に弾き切ってしまう。それでいて、展開される音について難解さは無い。しかし、この演奏にあるアバンギャルドさは、当時のエレクトリック・ジャズに必須の要素で、これが思いっきりクールに決まっている。
音の響きと雰囲気は、プログレッシブ・ロック。叙情性とトータル・イメージが際立つ。かつパワフル。このアルバムの演奏を聴いて、ジャズ側の圧倒的な演奏力に「やられた」。もはや、ロック側には何も無い、と感じたのは事実。ジャズ者になる前、1976年の秋から冬にかけて、これら、エレクトリック・ジャズの傑作を幾枚か聴いて、僕は当時のロックを見限って、ジャズに乗り換えた。
それだけ説得力のある、圧倒的テクニックを誇るエレクトリック・ジャズな演奏である。エレクトリック・マイルスは、リズム&ビートに、あくまでジャズとファンクをメインに置いたが、このマハヴィシュヌ・オーケストラは、リズム&ビートにロック・ビートを織り交ぜており、このロック・ビートの存在が、クロスオーバー・ジャズの雰囲気を増幅させていて心地良い。
ギターとヴァイオリンをフィーチュアした、テンションの高いハードで硬派なジャズロック。甘さの微塵も無い。 ギターとヴァイオリンの絡みがエキゾチックな響きを漂わせ、ジャズとロックの融合なんていう「予定調和」な響きはここには全く無い。あるのは、今の耳で聴いても驚きを感じる「ハプニング性」。これは最終的には「聴いて貰うしか無い」。
マハヴィシュヌ・オーケストラのデビュー盤『The Inner Mounting Flame(内に秘めた炎)』とこのセカンド盤を初めて聴いた時、これって「キング・クリムゾンやん」って思った。特に、ギターの弾き方、ヴァイオリンの響き、これって、『太陽と戦慄』から『暗黒の世界』のキング・クリムゾンの音にそっくり。
というか、このマハヴィシュヌ・オーケストラのデビュー盤『The Inner Mounting Flame(内に秘めた炎)』が1971年のリリースですから、キング・クリムゾンのほうが、このマハヴィシュヌ・オーケストラの音を参考にしたんでしょうね。う〜ん、キング・クリムゾンの総帥ロバート・フィリップもなかなか「あざとい」なあ(笑)。
今の耳で聴いても、ジャズ・ロック的な音楽の中に、懐の深く柔軟なジャズらしい、クラシック、インド音楽、カントリーなどを詰め込んだ、説得力のある、圧倒的テクニックを誇るエレクトリック・ジャズ。この様々な音楽要素を突っ込んで、ひとつにまとめてエレクトリック・ジャズに仕立て上げる豪腕、これが本来の「クロスオーバー・ジャズ」の本質なんだろう。
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ベースライン動画からNarada Michael Walden 〜マハヴィシュヌオーケストラに辿り着いて
このアルバムをサブスクで聴いて あれ これはクリムゾンの音に似てると感じ 検索してこちらへ着きました。このサイトはジャズ好き、ロック好きな私が数年前から見せていただいていたもので 嬉しくなってコメントしています。クリムゾン信者としてはマハヴィシュヌの火の鳥が太陽と戦慄より前のリリースなのかーと少しガッカリしたけどね。 X フォローしました。
投稿: アンリル僧 | 2024年4月 4日 (木曜日) 10時43分