久々に「芳しきブラスの響き」
僕がジャズを好きな訳の一つは「芳しきブラスの響き」。サックスやトランペットというフロントを飾る金管楽器のブラス(真鍮)の響き。これがたまらなく好きだ。煌めく様なブラスの響きのユニゾン&ハーモニーがバッチリ決まった時には、思わず「チキン肌」になる。
メインストリーム・ジャズやフュージョン・ジャズでのブラスの響きも良い。ジャズ・オーケストラ、いわゆるビッグバンドのブラスも響きも魅力的だ。しかし、僕は、この「ブラスの響き」を堪能できるのは、ジャズ・ファンク・バンドだと思っている。
米国では、1970年代前半を中心に活躍した、Tower of Power(タワー・オブ・パワー)やChase(チェイス)が思い浮かぶ。日本では、Spectrum(スペクトラム」が唯一の存在。「ブラスの響き」が芳しいジャズ・ファンク・バンド、ジャズ・ロック・バンドは、と問われて、僕がパッと思い浮かべるバンドがこの3つ。
こうやって考えてみると、ありそうでなかなかお目にかかれない、「ブラスの響き」が芳しいジャズ・ファンク・バンド、ジャズ・ロック・バンドである。しかし、このジャズ・ファンク・バンド、ジャズ・ロック・バンドの「ブラスの響き」は半端では無い。アレンジと奏者の力量がバッチリ合った時、ブラスは輝き、煌めきを放つ。そして、我々、聴き手に至福の時が訪れる。
今年の7月のことだったか。ITMSを徘徊していて、このジャズ・ファンク・バンドに出会った。そのジャズ・ファンク・バンドとは「FIRE HORNS(ファイアー・ホーンズ)」。スガ シカオのライブサポートをきっかけに、Atsuki(tp)、Juny-a(sax)を中心に結成されたホーン・セクションである。2013年になり、ここにトロンボーンのTocchiが加わり、現在に至る。
そんな魅力的なジャズ・ファンク・バンド、FIRE HORNSの新作が『Primal Ignition』(写真左)。2014年06月11日の発売になるから、4ヶ月前のリリースしたてのホヤホヤである。僕は、iTunes Storeで試聴して、おもわず「ポチっとな」(笑)。おもわず「即買い」である。
試聴しただけで、このFIRE HORNSの「ブラスの響き」が魅惑的なのが判る。久々の聴き応えのあるジャズ・ファンク・バンドの登場である。日本人独特な、乾いたファンクネスが独特な響きを醸し出し、奏者の力量確かに、煌めく様なブラスの響きのユニゾン&ハーモニーが疾走する。
収録曲は全部で11曲。バラエティーに富んだ楽曲構成で、疾走感溢れる曲あり、ゆったりとしたバラードチックな曲あり、重心の低いファンクネス溢れる曲あり、ボーカル入りのR&Bチックな曲あり(スガシカオが参加したりしている)と、とにかく様々な内容を持った曲が上手く並べられていて飽きが来ない。作曲力と演奏力の勝利だろう。
加えて、どの曲もアレンジが秀逸。このアレンジの秀逸さが、このバンドの「ブラスの響き」をより魅力的なものにしている。特に、ユニゾン&ハーモニー、そして、アンサンブルの部分は、アレンジの良し悪しによって、この「ブラスの響き」の魅力が大きく左右される。そういう点では、この『Primal Ignition』のアレンジは合格点。「芳しきブラスの響き」が堪能出来る。
アレンジが秀逸で、かつ日本人独特の「乾いたファンクネス」のお陰で、ジャズ・ファンク・バンドとしての音の傾向は「洗練された切れ味の良い整然とした音」になる。ジャズ・ファンク・バンドとしては理路整然とした音で破綻が無く、安心して「芳しきブラスの響き」に身を委ねることが出来る。ジャズ・ファンク・バンドは秀逸なアレンジが命。秀逸なアレンジにこそ「芳しきブラスの響き」が宿る。
日本発では、スペクトラム以来の本格的なジャズ・ファンク・バンドの登場。このメジャー・デビュー盤『Primal Ignition』を聴き込んで、FIRE HORNSの今後の活動が大いに楽しみになった。機会があれば、是非、ライブにも足を運びたい。
震災から3年6ヶ月。決して忘れない。まだ3年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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