こんなアルバムあったんや・37
ブルーノート・レーベルには、その音を聴いて驚愕するアルバムが幾枚かある。オーナー&プロデューサーのアルフレッド・ライオンのたっての希望で実現した「ライオンの狂気」と呼ばれるアルバム群。リズム&ビートの洪水。
「ライオンの狂気」と呼ばれる、リズム&ビートの洪水なアルバムの中の2枚。ブルーノートの1554番・1555番。Art Blakey『Orgy In Rhythm, Vol.1&2』(写真)。1957年3月の録音。
ちなみにパーソネルは、Art Blakey (ds, vo), Ray Bryant (p), Jo Jones (ds, tympani), Herbie Mann (fl), Wendell Marshall (b), Sabu Martinez (per, vo), Ubaldo Nieto (per, timbales), Evilio Quintero (per, maracas, cencerro), Arthur Taylor (ds), Carlos "Patato" Valdes (per), Specs Wright (ds, tympani)。
通常のジャズの編成では全く無い。ドラムが4人、パーカションが4人、ピアノが1人、ベースが1人、フルートが一人。計11人中、打楽器がなんと8人。打楽器だけの打楽器の為の編成である。
この2枚のアルバムは凄い内容である。全編リズム&ビートの嵐。旋律楽器は全く登場せず。ピアノもほぼ打楽器の扱い。ベースもひたすらビートを弾く。これがジャズか、と問われれば、僕は「ジャズだ」と答える。ジャズの絶対的な基本要素である「リズム&ビート」だけを取り出してアルバムに仕立てた、ブルーノート・レーベルだけが為し得た「狂気のアルバム」
ドラムとパーカッションが奏でるリズムの饗宴は、アフリカン・ネイティブな響き。アフリカの民俗音楽、土着音楽の雰囲気そのままのリズム&ビート。アフリカン・アメリカンの故郷の響き。途中、フルートの響きが、これまたアフリカン・ネイティブな響きで、思わず「ゾクッ」とする。
リーダーのドラマー、アート・ブレイキーのボーカルもアフリカン・ネイティブな響き。アフリカの民俗音楽の歌声そのまま。ジャズの源、アフリカンの響き、アフリカンのリズム&ビート。
凄い迫力でLP2枚分、約1時間もの間、旋律を奏でる楽器の登場は全く無い。野趣溢れるリズム&ビートが延々と続く。しかも、そのリズム&ビートがハイ・テクニックでエネルギッシュに疾走する。時には嵐のように、時には微風のように。これだけ、変幻自在、硬軟自在のリズム&ビートはなかなか無い。というか唯一無二だろう。
「ライオンの狂気」は凄まじいばかりのリズム&ビートの饗宴。この2枚のアルバムを聴き通せるジャズ者は、そうそういないだろう。一般のジャズ者の方々にはお勧め出来ないなあ。しかし、まずまずのステレオ・セットで聴けば迫力満点。思わずぶっ飛びます。
ジャズの絶対的な基本要素の「リズム&ビート」だけを取り出して、我々の前に提示した驚異のアルバム。ドラム&パーカッションだけでここまでの演奏を成立させるなんて、ジャズの持つポテンシャルとアート性には感服することしきり、である。
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