こんなアルバムあったんや・36
ブルーノートは、ジャズの老舗レーベル。ビ・バップからフリー・ジャズまで、ジャズの演奏スタイルの全てを網羅している。本番のセッション前に十分なリハーサルを積む。そして、本番セッションのみならず、このリハーサルにもギャラを払う。ミュージシャンに敬意を払い、十分にもてなす。
当然、そうやってリリースされたアルバムは、どのアルバムもその出来は水準以上。ブルーノートの1500番台、4000番台、410番台は、21世紀の今になっても、ジャズの基準でありつづけている。
そんなブルーノート・レーベルのアルバムの中にも、一風変わった、どう聴いても、ブルーノート・レーベルからリリースされたアルバムとは思えない、変わり種のアルバムが幾枚かある。そんな変わり種アルバムを探すことも、実は、これもブルーノート・レーベルのアルバムのちょっと捻った楽しみ方でもある。
変わり種のアルバムのトップバッターは、Gil Melle『Patterns In Jazz』(写真左)。ブルーノートの1517番。1956年4月の録音。パーソネルは、Gil Melle (ts,bs), Eddie Bert (tb), Joe Cinderella (g), Oscar Pettiford (b), Ed Thigpen (ds)。これって、米国西海岸ジャズのジャズメンが中心であり、音的にも米国西海岸ジャズの音である。
リーダーでサックス奏者のギル・メレ(Gil Melle)は、カリフォルニア州出身のミュージシャン。ジャズと映画音楽の創作活動がメイン。このギル・メレは、ブルーノート・レーベルの確立にとって重要な役割を果たしている。
ブルー・ノートの創業者であるアルフレッド・ライオンに、あの録音技師のルディ・ヴァン・ゲルダーを引き合わせたのは、このギル・メレである。このライオンとヴァン・ゲルダーとの組合せにより、ブルーノート独特の、いわゆる「ブルーノート・サウンド」が生み出された。
ビ・バップ晩期からハードバップ初期がメインの、米国東海岸のジャズがギッシリ詰まった1500番台の中で、このアルバムだけが「米国西海岸ジャズ」である。程良くアレンジされ、ユニゾン&ハーモニー、そしてアンサンブルが整然としていて、演奏自体も程良く抑制された、全くもって「米国西海岸ジャズ」の音である。
このアルバムは、ブルーノートの1500番台の中で、突出して「浮いて」いる。しかし、その演奏内容は、米国西海岸ジャズトしては、十分に優れている。聴き応えあり、と言って良い。しかも、音的には、ヴァン・ゲルダーの手による「ブルーノート・サウンド」の響きがする。演奏は米国西海岸ジャズ、音の響きはブルーノート・サウンド。このギャップが面白い。
ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンは時にユニークな録音を残す。まずは、この『Patterns In Jazz』。ブルーノートのセッションの音とはかけ離れたところにある米国西海岸ジャズの音なんだが、その響きはブルーノート。ブルーノート1500番台の「珍獣」である。
震災から3年6ヶ月。決して忘れない。まだ3年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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