ビッグバンド・ジャズは楽し・34
ビッグバンド・ジャズのアレンジャーとして有名どころの一人に「この人」がいる。「この人」とは、Bob Brookmeyer(ボブ・ブルックマイヤー)。本名Robert Edward Brookmeyer。1929年12月生まれで、2011年12月に鬼籍に入った。
ブルックマイヤーはトロンボーン奏者である。ビッグバンドのアレンジャーとしても有名で、特に、その編曲能力は独特の個性がある。
音の重ね方が独特。聴いて耳に心地良い響きとして残る和音の重ね方が独特。一聴するだけで「これはブルックマイヤーか」と判る。ユニゾン&ハーモニーが明るくポジティブな響きで、いきなり大音量でぶりぶりっとフォルテッシモをかまされても、耳に響かない、理路整然とした響き。
そんなボブ・ブルックマイヤーのビッグバンドもので、僕が愛聴している一枚がこのアルバム。Bob Brookmeyer futuring Eliane Elias 『Impulsive!』(写真左)。1997年2月の録音。
Danish Radio Jazz Orchestraに、ボブ・ブルックマイヤーと、なんと、あのブラジル系美人ピアニスト、Eliane Elias(イリアーヌ・イリアス)が参加した形のセッション。ボブ・ブルックマイヤーはコンダクターとしても活躍している。トロンボーン奏者とコンダクター。二足のわらじがはける有能なジャズメンである。
収録されたどの曲にも、ブルックマイヤーの個性的なアレンジが煌めいている。とにかく、音の重ね方が独特で、暫く聴いていると、ブルックマイヤーのアレンジが噛んでいることが直ぐに判る、
それ位、個性的なアレンジである。加えて、ユニゾン&ハーモニーも個性的。これだけポジティブで明るい響きのユニゾン&ハーモニーもなかなか他にあるわけでは無い。
そして、そこにピアニストとして、イリアーヌ・イリアスが加わる。今では、このイリアーヌは、唄える女性ジャズ・ピアニストとして有名になり、その唄声は正調ボサノバ。ボサノバ・ボーカルの正統な後継者として、イリアーヌは評価が高い。
しかし、ここでのイリアーヌは純粋ジャズ・ピアニストのイリアーヌである。イリアーヌは、エバンス派ピアニストとして一派一絡げで語られるが、大本のビル・エバンスとは、そのピアノの弾き方、響きについては、若干、趣が異なる。
エバンスより繊細、そして、エバンスよりリリカル。女性ならではの優しいタッチで、本家ビル・エバンスより繊細でリリカルな、そしてクールでジャジーなピアノが、ブルックマイヤーにアレンジされたビッグバンドをバックに、淡々と弾き継がれていく。
一粒で二度美味しい。まるで「グリコ・キャラメル」の様なアルバムである。ブルックマイヤーにアレンジされたビッグバンド・ジャズと、それをバックにしたイリアーヌのピアノの両方が楽しめる。
全6曲、全く飽きが来ない。冒頭の「Just Kiddin'」を聴き始めれば、ラストのタイトル曲「Impulsive!」まで一気に聴いてしまう。なかなかビッグバンド・ジャズの紹介にも出てこないアルバムですが、ビッグバンド者の方々には是非ともお勧めの一枚です。
★震災から3年6ヶ月。決して忘れない。まだ3年6ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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