マイルスの薫陶を受けた若き精鋭達 『Maiden Voyage』
昨日から、どうにもこうにも、季節の変わり目で風邪をひいたのか、身体は怠いわ、お腹の調子は悪いわ、で散々な三連休でした。加えて、一昨日は嫁はんの体調不良。よって、一昨日、昨日と当ブログはお休みさせていただきました。今日はなんとか、起きていられる様になったので、ブログを再開です。
散々な3連休でしたが、寝てばかりでは腰が痛くなるばかりなので、ちょっと起きてはCDをディスクに落として、暫く仕掛かっていたブルーノート4100番台のPCオーディオ環境への移行を完了させました。これで、1500番台、4000番台に続いて、4100番台も飛躍的に聴き易く、また、音的にも良い音で聴ける様になりました。
そして、テスト的に聴き始めたのが、Herbie Hancock『Maiden Voyage』(写真左)。邦題『処女航海』。1965年3月15日の録音。ブルーノートの4195番。ちなみにパーソネルは、Herbie Hancock (p), Freddie Hubbard (tp), George Coleman (ts), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)。マイルス・スクールで、直接、帝王マイルスの薫陶を受けた(ハバードは除く)若き精鋭達で構成されたクインテット。
聴けば判るのだが、このアルバムの演奏は、マイルス・デイヴィスとギル・エバンスが仕掛けた「モード・ジャズ」の典型的な成果として有名なアルバムである。マイルス楽団でマイルスの薫陶を受け、モード・ジャズを「我が物」にした精鋭部隊が、親分のマイルスの下から離れて、若手だけでクリエイトしたモーダルなジャズ。
収録された5曲は全てハービー・ハンコックの作で、モード・ジャズを十分に理解したハービーが存分にペンを振るって、モード・ジャズの代表的な名曲を「ものにしている」。収録曲は以下の通り。
1. Maiden Voyage
2. The Eye of the Hurricane
3. Little One
4. Survival of the Fittest
5. Dolphin Dance
4曲目の「Survival of the Fittest」は短編組曲風の「難曲」みたいで、なかなか他のジャズメンに演奏されることは無いのだが、1曲目の「Maiden Voyage」、2曲目「The Eye of the Hurricane」、3曲目の「Little One」、そしてラストの「Dolphin Dance」、それぞれがミュージシャンズ・チューンとして、様々なジャズメンに演奏されていて、特に「Maiden Voyage」と「Dolphin Dance」はスタンダード化していますね。
この収録曲のタイトルを見ると、「処女航海」「台風の目」「かわいいやつ」「適者生存」「イルカのダンス」と海をテーマにしていることが判ります。こういうアルバムのテーマ性というのも、当時のジャズでは珍しくて、この『Maiden Voyage』というアルバムは、そのアート性に関しても素晴らしいものがあります。
演奏の内容としては申し分ありません。このパーソネルですよ。悪い訳がありません(笑)。モード・ジャズを「我が物」にしたメンバーが存分にその能力を発揮しています。特に、フロントではジョージ・コールマンが大健闘しています。マイルスの下ではちょっと萎縮した感じの演奏でしたが、ここでは伸び伸びと吹きまくっています。
それから、これは凄いな〜と感心したのが、トニー・ウィリアムスのドラミング。特に、シンバル・ワークは尋常ではありません。凄い切れ味とスピードのスティック捌きで叩きまくります。PCオーディオの環境では、スピーカーから「シュワンシュワン」と凄まじい音がします。これだけ柔軟で細かいピッチで、フロントのモーダルな演奏をコントロールし支えている訳ですね。凄いです。
さすが名盤の誉れ高い『Maiden Voyage』、いつ聴いても新しい発見があって、全く飽きません。このアルバムは、今から38年前、僕がジャズ者初心者ホヤホヤの頃、始めの10枚の中に入っていました。印象的でキャッチャーな旋律を持った曲ばかりなので、ジャズ者初心者の方々にもお勧めです。モード・ジャズとは何か、を体験するにも良いアルバムでしょう。
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