僕は「旗のシルバー」と呼ぶ
ブルーノート・レーベルには、ブルーノート御用達の「ハウス・ミュージシャン」が幾人かいる。ピアノのホレス・シルバーも、そんなブルーノート付きのジャズメンの一人。長年、デビュー当時から、ブルーノート・レーベルからリーダー作をリリースし続けた。
そんなホレス・シルバーの個性を、ブルーノートのオーナー&プロデューサーのアルフレッド・ライオンは十分に理解し、ブルーノートからリリースするアルバムは全て、その時点その時点でのホレス・シルバーの個性を最大限に表現されていて、どれもが聴き応え十分である。
例えば、Horace Silver『The Stylings Of Silver』(写真左)。ブルーノートの1562番。国連ビルの前でのポーズをとった、当時としては珍しいカラー写真のジャケットを見ても、ライオンがどれだけ、ホレス・シルバーを買っていたかが判るというもの。加えて、ホレス・シルバーの人気のほどが判るというもの。
ブルーノートのアルバムについては、そのタイトルがその内容をズバリ表しているものが多く、このアルバムのタイトル「The Stylings Of Silver」もそんな秀逸なタイトルのひとつ。「シルバーのスタイル(型)」。確かに、このアルバムには、ホレス・シルバーの個性がギッシリと詰まっていて、ホレス・シルバーのピアノ、アレンジ、作曲センスがしっかりと理解出来る内容となっている。
1957年5月の録音。Art Farmer (tp), Hank Mobley (ts), Horace Silver (p), Teddy Kotick (b), Louis Hayes (ds)。まだ、シルバーがパーマネントなグループを持つ前、シルバーの曲、ピアノ、アレンジに合ったミュージシャンを選んで、セッションに臨んでいる。
どの曲もどの曲も、判り易い切れ味の良いテーマ、軽快にスイングするお洒落な4ビート、クールに畳みかけるようなファンクネス。 ユニゾン&ハーモニーは、どこから聴いてもそれと直ぐ判る、クールでお洒落なシルバー節。激しさとは無縁のクールで印象的なアレンジ。
フロントを張る、柔らかでメロディアスなファーマーのトランペットとモブレーのテナーが、シルバーのピアノをバックに、心地良く気持ち良く響く。シルバーの曲にアレンジに、このファーマーのトランペットとモブレーのテナーが良く合う。プロデューサーのアルフレッド・ライオンの慧眼恐るべし、である。
いろいろなニュアンスや表情の曲が並んでいて、聴いていてとても楽しい。ハードバップの良い部分ばかりが詰まっていて、ハードバップ入門としてもこのアルバムはお勧めである。
国連ビルの階段に佇むシルバーが実に格好良い。万国旗のハタメキ加減、少しくすんだレトロなカラーの色調、むっちゃクールでお洒落である。このジャケットの印象とピッタリの演奏の数々。僕は、このアルバムに敬意を払って「旗のシルバー」と呼ぶ。
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