ハイ・ファイ・セット知ってる?
1970年代中盤以降、1990年代中盤までの20年間活動した、Jポップのコーラス・グループがあった。男性2人、女性1人の変則コーラス・グループである。その名は「ハイ・ファイ・セット」。グループ名は細野晴臣の発案による。
伝説のフォーク・グループ「赤い鳥」から分かれ出たコーラス・グループである。メンバーは、山本潤子(旧姓、新居潤子)、山本俊彦、大川茂。山本潤子のソプラノ、山本俊彦のテナー、大川茂のバス・ヴォイスによる抜群のコーラスワークが個性の、日本で唯一の混声コーラス・グループであった。
僕はこのハイ・ファイ・セットが大好きで、デビューアルバムの『卒業写真』から、1970年代のアルバムはコンプリートしている。今は、1980年代のアルバムに手を染め出したところ。とにかく、このグループのコーラス・ワークと洒落たアレンジが魅力。とにかく「お洒落」なコーラスだった。
そんなハイ・ファイ・セットが、ライトなフュージョン・ジャズ風なアレンジを採用し始めたアルバムが2枚ある。1977年にリリースされた『The Diary』(写真左)と1978年リリースの『Swing』(写真右)である。
どちらのアルバムも、ライトなフュージョン・ジャズ風なアレンジを施したものと、従来からの歌謡ポップ風のフォーク・コーラスなアレンジのものと混在しているが、どちらかと言えば、ライトなフュージョン・ジャズ風なアレンジを施した楽曲の方が魅力的である。
『The Diary』では、何と言っても冒頭の「恋の日記」である。これがとても魅力的なコーラス曲なのだ。アレンジは、完全にライトなジャズ・コーラス風なアレンジ。しっとりと唄い上げていくこの歌、僕は大好きです。この曲がシングル・カットされて、FMから流れて来た時、次の日には、この『The Diary』というアルバムを手にしていた。
フュージョン・ポップ風の「風の街」も爽やかで良い雰囲気。7曲目の「暖炉でマシュマロ」などは、完全にライト・フュージョン・ジャズなアレンジで、ハイ・ファイ・セットのコーラス・ワークが実に映える。やはり、ハイ・ファイ・セットのコーラス・ワークはライトなジャズに良く似合う。
『Swing』は、そのタイトルもズバリ、冒頭の「スウィング」が良い。趣味の良い粋なライト・ジャズなアレンジに乗って、ハイ・ファイ・セットのコーラスが実にジャジー。2曲目の「少しだけまわり道」は、ライトなフュージョン・ジャズなバックの演奏がお洒落。
惜しむらくは3曲目の「火の鳥」。この楽曲だけが、当時のニューミュージック風の歌謡ポップなアレンジで、アルバム全体の雰囲気からはちょっと浮いている。この「火の鳥」はシングル・カットにして、ベストアルバムに収録すべきだったのだろう。確かに、山本潤子の歌唱は素晴らしい。しかし、『Swing』というアルバムの雰囲気からはかなり「浮いて」いる。
この2枚のライトなフュージョン・ジャズ風なアレンジをベースとしたハイ・ファイ・セットのアルバムには、大学時代、ジャズ者初心者だった僕は、硬派な純ジャズに聴き疲れた時、耳休め的な位置づけで、大変、お世話になった。特に『The Diary』は、今でも冒頭の「恋の日記」を聴くだけで、胸がきゅんと締め付けられるのだ(笑)。
震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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