久し振りのピアノとギターのデュオ
ピアノとギターは非常に良く似た楽器である。単音のみならず和音も出る。アルペジオも出来る。弦を掻きむしることもできるし、和音を連続して弾くことで、リズム楽器としての機能を果たすことも出来る。音のスケールも良く似通っている。
しかも、ピアノという楽器はもっと厄介で(笑)、和音と単音を、右手と左手に分けて別々に同時に出せるし、リズム部と旋律部を同時に奏でることが出来る。つまりは、ピアノ一台で楽器表現の全てを出すことが出来る訳で、ピアノという楽器は、そもそもデュオという演奏形態には向かない、とも言える。
そんな難度の高いピアノとギターのデュオについては、優れた前例として、ビル・エバンスとジム・ホールのデュオがある。二人は2枚のピアノとギターのデュオ盤を残している。一枚は『Undercurrent』、もう一枚は『Intermodulation』。この2枚に、ピアノとギターのデュオのお手本となる演奏がギッシリと詰まっている(2010年12月14日のブログ・左をクリック)。
この2枚を聴き込んで、ピアノとギターのデュオの奥義を究めれば、誰でもピアノとギターのデュオが出来ると思いきや、そうではないのが、即興演奏を旨とするジャズならではの難しさ。
僕は、このビル・エバンスとジム・ホールのデュオ以外、ピアノとギターのデュオについては、ピアノのベニー・グリーンとギターのラッセル・マローンの『Jazz at the Bistro』(2013年7月30日のブログ・左をクリック)しか知らない。
しかし、最近、4枚目のピアノとギターのデュオの傑作を見つけた。Stefano Bollani with Luigi Tessarollo『Homage To Bill Evans And Jim Hall』(写真左)である。イタリア・ジャズが誇る、ギターのルイージ・テッサロッロとピアノのステファノ・ボラーニ(写真右)のデュオ。2000年4月17日のライブ録音。
タイトルはシンプルに「ビル・エバンスとジム・ホールへのオマージュ」。エバンスとホールの2枚のデュオ盤『Undercurrent』と『Intermodulation』の収録曲からの選曲も多く、明らかにエバンスとホールの2枚のデュオ盤『Undercurrent』と『Intermodulation』を十分に意識し、お手本にし、今の感覚と自らの個性を全面に押し出した「ピアノとギターのデュオ演奏」を追求し、そして成果を上げている。
とにかく上手い。エバンスとホールの2枚のお手本があるにはあるが、それを差し引いても上手い。ライブ録音にも拘わらず、音がほとんどぶつからない。入念にリハーサルは積んだのだろうが、やはり、ジャズメンの演奏技術は年々進化しているのだろう。エバンスとホールのデュオ演奏を完全に凌駕するほどに、このデュオ演奏は素晴らしい出来だ。
適度な緊張感、デュオならではの熱気溢れるアドリブの応酬。流麗なユニゾン&ハーモニー。このギターのルイージ・テッサロッロとピアノのステファノ・ボラーニのデュオとしての相性は抜群。明らかに、エバンスとホールの『Undercurrent』と『Intermodulation』の「後を継ぐ盤」である。
近代画的なジャケットもアーティスティックで趣味の良いもの。さすがイタリア・ジャズ。ライブ収録とは思えないほど、レンジの拾いクリアな音質も特筆もの。ジャズ者万民に聴いて頂きたい良盤です。

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