ズート入門盤としてお勧めの一枚
昨日は、Zoot Sims & Al Cohnの『Al & Zoot』をご紹介した。このバンドの双頭リーダー、ズート・シムズとアル・コーン、単独では、ズート・シムズの方が有名盤が多い。ということで、今日はズート・シムズのリーダー作の中で、私の愛聴盤を一枚、ご紹介したい。
その愛聴盤とは、Zoot Sims『Zoot』(写真左)。そのまんまのアルバム・タイトルである。同じ様なタイトルに『Zoot!』があるが、こちらのタイトルの最後に「!」が付いている。「!」の有り無しで、全く別のアルバムである。紛らわしいが間違わないで下さいね。今日の話題は、「!」マーク無しの『Zoot』。
Argoレーベルからのリリース。1956年10月、シカゴでの録音になる。ちなみにパーソネルは、Zoot Sims (ts,as), John Williams (p), Knobby Totah (b), Gus Johnson (ds)。ズート以外は馴染みの無い名前が並ぶ。シカゴでの録音なので、地元のジャズメンを調達したのだろうか。
この 『Zoot』というアルバム、ズート・シムズのワン・ホーン盤であり、ズートのサックスが心ゆくまで楽しめる。というか、バックのミュージシャンのプレイが地味で、ズートのサックスだけが全面の押し出されている。流麗でクールでスマートな、白人サックス奏者ならではの個性が実に良く判る。
そして、ズートならではの個性は、この白人サックス奏者ならではの「流麗でクールでスマートな」サックスの音に、ほのかに乾いたファンクネスが漂うところ。決してウェットでは無い、決してコッテコテでは無い、決して粘らないのだが、乾いてスッキリとしてファンクネス漂うところがズートのサックスの個性。
そんなズートのサックスの個性を堪能するのに、このアルバムの選曲が実に良い。旋律がキャッチャーで流麗なスタンダード曲を度々ドッと持ってきて、それをズートがサックスのシングルトーンで、流麗でクールでスマートに吹きまくる。そして、その吹きまくりのサックスの音色に、ほのかに乾いたファンクネスが漂う。
1. 920 Special
2. The Man I Love
3. 55th And State
4. Blue Room
5. Gus's Blues
6. That Old Feeling
7. Bohemia After Dark
8. Woody'n You
以上がこのアルバムの収録曲。どれもが良い感じなんですよね。ズートのサックスが実に映えます。「流麗でクールでスマートな」分、聴き心地が良い。ただし、バックのリズム・セクションは全く地味。ドラムとベースはリズム・キープに徹して、ソロをやることは無く、ピアノは頑張ってソロを取るが、スタイルも普通で「そこそこ」のレベル。
このアルバムはズートのサックスを愛でるのが全てのアルバムである。それだけでも十分な感じにさせてくれるズートのサックスが良い。このアルバムでのズートは絶好調。ズートのサックスを感じるのに最適な、ズート入門盤としてお勧めの一枚です。
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