テナーでもオーネットはオーネット
オーネット・コールマンの聴き直しを再開。まずは第1期として、1958年のデビュー盤『Something Else!!!!』から、1965年のあの名盤『At the "Golden Circle" Vol. 1 & 2』までの聴き直し。
今日は、Ornette Coleman『Ornette on Tenor』(写真左)。1961年3月の録音。1962年12月にアトランティック・レーベルからリリースされている。オーネットはもともとはアルト・サックス奏者なんだが、このアルバムでは、テナー・サックスを手にとって、オーネット独特のフリー・ジャズをやっている。
ちなみにパーソネルは、Ornette Coleman (ts), Don Cherry (tp), Jimmy Garrison (b), Ed Blackwell (ds)。盟友ドン・チェリーがトランペットを担当し、リズム・セクションは、ギャリソンのベースとブラックウェルのドラムと申し分無い。
いつもはアルト・サックスで、オーネット独特の「フリー・ジャズ」をやっているんだが、これをテナー・サックスでやるとどうなるのか。アルト・サックスは調性は変ホ(E♭)調、テナー・サックスはアルトよりも完全4度低い変ロ(B♭)調。テナーは男性的かつ豪快な音色を持つので、これでオーネットのフリー・ジャズをやるとどうなるのか。
で、聴いてみたら、まず第一印象は「テナーを持ってもオーネットはオーネットやなあ」。フレーズの作り方、展開の仕方、タイム感覚、どれをとってみても「オーネットはオーネット」。それもそのはずで、アルト・サックスを持つ前は、オーネットはテナー・サックス奏者だったのだ。テナーもお手のものなのだ。
なるほどね。アルトとテナーは大きさも調性も異なるので、吹き方も少し異なるのだが、オーネットはそんなことは全く気にせず、テナーを吹く。そうかテナーを吹いていたんやね。道理で上手いと思った。
ただ、やはりアルトより低い調性を持つテナー・サックスならではの音色と音階で、オーネットのフリー・ジャズ演奏が、よりダイナミックかつ男性的に展開されるのには感心した。重心が低いというか、ダイナミックレンジが広くなったというか、オーネットのフリー・ジャズがより音圧があり、より拡がりのある展開に聴こえる。聴き応え十分である。
このアルバムのリリースが1962年だから、まだコルトレーンはフリー・ジャズに転身してはいない。しかし、この『Ornette on Tenor』でのオーネットのテナーは、コルトレーンのテナーの展開に似ている。というか、コルトレーンのテナーがオーネットのテナーに似ているのか。
オーネットのテナーは、コルトレーンに似てはいるが、コルトレーンより余裕があるというか、コルトレーンよりも陽気でラフである。必要最低限の決め事にのって吹きまくるオーネットのテナーは、全くもってイマージネーション豊か。アドリブ展開は今の耳で聴くとアイデア優先のちょっと単調なものなんだが、当時としてはこれがフリーなジャズと呼ばれていたんだろうな。
実はこのアルバムが、アトランティックでのラスト・アルバムになるんですね。先進的なジャズに理解のあったアトランティック・レーベルだったんですが、どうしてオーネットは、このアトランティック・レーベルを離れたんでしょうか。このアルバム以降、オーネットは茨の道を暫く歩くことになります。
震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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