オーネットの落ち穂拾いの異色盤
さて、アトランティック・レーベルのオーネット・コールマンの聴き直しも、いよいよ終焉を迎える。今日は、Ornette Coleman『To Whom Who Keeps A Record』。邦題は『未知からの漂着』。すっごい邦題やなあ(笑)。
1959年から1960年にかけての『Change of the Century』と『This Is Our Music』セッションからの落ち穂拾い盤である。1975年に日本でのみリリースされた当時の貴重盤。ジャケットもすらっとシンプルなもの。ジャズのアルバムって感じがしない。
パーソネルはほぼ共通のメンバー。Ornette Coleman (as), Don Cherry (tp), Charlie Haden (b), Billy Higgins (ds) on "Music Always" 1959 Track, Ed Blackwell (ds) on 1960 tracks。ドラムが「Music Always」だけがビリー・ヒギンズが務め、残りは、コールマン、チェリーの双頭フロントをはじめに、ベースのヘイデン、ドラムのブラックウェルの鉄壁の布陣。
このアルバムの収録曲は以下の通り。それぞれの曲のタイトルをつなげて読むと面白い。
1. Music Always
2. Brings Goodness
3. To Us
4. All
5. P.S. Unless One Has (Blues Connotation No.2)
6. Some Other
7. Motive For Its Use
Music Always Brings Goodness To Us All.
P.S. Unless One Has Some Other Motive For Its Use.
「音楽は常に私たち皆に良いものをもたらしてくれる。
ただし、何か別の目論見で用いられることさえなければ」
となかなか意味深なメッセージになるのだ。まあ、フリーな曲で占められているので、タイトルは何でも良いといえば良いのだが、この様に、各曲のタイトルをつなげて読ませて、メッセージ性のあるものにする、なんてアプローチは、他のジャズ盤には無いもの。ちょっとばかし、ユニークな盤ではあります。
落ち穂拾い盤とは言え、さすがにオーネットの初期の名盤と誉れ高い『Change of the Century』と『This Is Our Music』からの落ち穂拾いなので、内容的には充実しています。これが当時未収録としてお蔵入りしたテイクとは信じられません。
やはり、このアトランティック・レーベルでのコールマン独特の限りなくフリーに近いバップ・ジャズは、フリー・ジャズな様々なアイディア満載で、聴いていて実に興味深いものばかり。単調な展開に陥る部分もあるが、フリー・ジャズなんて概念が無いその時代に、個性的なアイデア優先な取り組みは実に意欲的であり、実に潔い。
オーネット・コールマンの落ち穂拾い盤って、捨て曲が無いんですよね。この『To Whom Who Keeps A Record』もなかなかの内容で、アルバムを聴き終えて、改めて感心しました。とてもこのアルバムが「落ち穂拾い盤」だなんて思えませんね。良い内容です。
震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« リズム&ビート優先のフリーな演奏 | トップページ | オーネットのテイクは捨て曲無し »
コメント