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2014年7月22日 (火曜日)

ジャズ喫茶で流したい・54

「ジャズ盤聴き」を楽しんでいると、なにも有名なジャズ・ジャイアンツの演奏だけが全てでは無いということに気が付く。ジャズ入門本やジャズ盤紹介本に、殆ど挙がることの無い、無名では無いんだが、知る人ぞ知るという存在の優れたジャズメンがいる。

結構な数のリーダー作をリリースしているのだから、当時のジャズ・マーケットにニーズはあったと思われる。しかし、日本のジャズ・シーンでは、ジャズ入門本やジャズ盤紹介本やジャズ雑誌で語られることが殆ど無い、不思議なジャズメンが何人かいる。

例えば、Gene Ammons(ジーン・アモンズ)などはそういう存在だろう。米国本国では「テナー・サクソフォン界のボス(The Boss)」とか「ジャグ(Jug)」の愛称で呼ばれるように、かなり人気のあったテナー・サキソフォン奏者であったようである。しかし、日本では「知る人ぞ知る」存在に留まっている。

1947年から1974年の27年間、リーダー作をコンスタントにリリースしているので、米国ジャズ界では有名な存在なのだろう。でも、日本では1970年代から1980年代では、ジーン・アモンズの名前を目にしたことは無かった。確か、1990年代に入って、幻の名盤のCD復刻が始まって、そんな幻の名盤の中に、ジーン・アモンズの代表作の名前を目にした様な気がする。

ジーン・アモンズのテナーのスタイルはちょっとユニーク。レスター・ヤングなどのオールド・スタイルを踏襲した、太くミッドテンポなブロウと、ジョン・コルトレーンの様なストレートなブロウが共存し、ところどころ、フリーキーな展開を「チラ見」させるという、なんとも「ええとこ取り」なスタイルである。僕は「テナー中間派」と呼んでいる(笑)。

「ええとこ録り」なんで、中途半端な印象を受けるかと思えば、聴いて見ると意外とそうでは無い。基本的にはオールド・スタイルのブロウなので、その野太いミッドテンポなブロウが一番のインパクトで、ストレートなブロウは、コルトレーンで聴き慣れているので、まあこれはこれでアリかな、って位であまり気にならない。
 

Boss_tenor

 
そんな「テナーの個性ええとこ取り」な「テナー中間派」の代表盤が、Gene Ammons『Boss Tenor』(写真左)である。1960年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Gene Ammons (ts), Tommy Flanagan (p), Doug Watkins (b), Art Taylor (ds), Ray Barretto (congas)。プレスティッジ・レベールからのリリースになる。

改めてパーソネルを眺めてみると、素晴らしいメンバーですね。ピアノに「名盤請負人」のトミフラ、ベースに堅実かつ野太のワトキンス、ドラムに玄人好みなテイラー、とこのリズム・セクションは素晴らしい。名盤名演を約束された様なもの。しかし、加えて不思議なことに、バレットのコンガが入っている。このコンガの参入の意味は良く判らない(笑)。

1. Hittin' The Jug    
2. Close Your Eyes    
3. My Romance    
4. Candian Sunset    
5. Blue Ammons    
6. Confirmation    
7. Savoy

上記の収録曲を眺めると、2曲目の「Close Your Eyes」、3曲目の「My Romance」、4曲目の「Candian Sunset」、6曲目の「Confirmation」など、玄人好みのスタンダードというか、ミュージシャンズ・チューン的な渋い楽曲が並ぶ。この渋い選曲もこのアルバムの魅力である。

「テナーの個性ええとこ取り」な「テナー中間派」なアモンズのブロウが実に良い雰囲気。骨太なテナーだが、意外とセンシティブな表現が憎い。ゆったりとした心地よさが良い。コルトレーンと真逆なスタイル。コンガの音色が意外と効果的。無骨なテナーにポップな雰囲気を添えてくれる。

「テナーの個性ええとこ取り」な「テナー中間派」な、ちょっと「どっちつかず」なところが日本のジャズ者の方々にウケなかった理由なのだろうか。コルトレーンとは真逆なスタイルが逆効果だったのか。なぜか日本では受けが悪いジーン・アモンズ。

しかし、そんな日本での評価を気にせず、この『Boss Tenor』を聴いてみて下さい。小粋で泰然とした太っといテナーに惚れ惚れすること請け合いです。

 
 

震災から3年4ヶ月。決して忘れない。まだ3年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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