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2014年6月30日 (月曜日)

今風のフュージョン・ジャズです 『Chameleon』

ハービー・メイソン(Harvey Mason)って、今年でいくつになるんだっけ。1947年2月生まれなので、今年で67歳になる。67歳にもなると、演奏する音楽も「昔取った杵柄」で、フュージョン・ジャズを楽しみながらやるのが普通だと思うんだが、このハービー・メイソンは違う。

今年5月にリリースされたリーダー作、Harvey Mason『Chameleon』(写真)。1973年に発表された、Herbie Hancock『Head Hunters』収録の大ヒット・ジャズ・ファンクの定番曲「Chameleon」を40年ぶりにリメイクしたアルバムとして、話題を集めたハービー・メイソンのリーダー作である。ジャケットは、日本盤が写真左、Import盤が写真右。

「Chameleon」のリメイクが目玉のアルバムなので、さぞかし、トラディショナルでファンキーなフュージョン・ジャズが展開されるんだろうな、と想像して、ちょっと食傷気味になるんだが、そこはグッとこらえて、聴き始める。

「Chameleon」の落ち着いた前奏を聴きながら、少し「あれっ」と思い始める。リズム&ビートが、1970年代〜80年代のフュージョン・ジャズで展開されたリズム&ビートとはちょっと違う。1970年代〜80年代のフュージョン・ジャズで展開されたリズム&ビートを基調としながら、新しい響きが随所に入り込んでいる。

次の「Black Frost」から、そのリズム&ビートの特徴が明確になる。1970年代フュージョン・ジャズからすると「ジャズ+ソウル+ファンク」の融合が基本なんだが、それはもう既にシッカリと押さえられている。そこに、ハウスやユーロの要素を取り込みながら、最終的にヒップ・ホップのリズム&ビートを大胆に導入。新しい響きが心地良い、今風のフュージョン・ジャズのリズム&ビートをベースに、クールな演奏が展開される。
 

Harvey_mason_chamelepn

 
ハービー・メイソンは、生けるジャズ・レジェンドの類のジャズメンなので、あからさまに、ヒップ・ホップとの融合を全面に押し出すことは無いが、要所要所でしっかりと全面に押し出しているところなぞは、さすが、プロデューサー兼任の才能の持ち主である。

フュージョン・ジャズ時代を代表するドラマーだったので、今でも、リズム&ビートの基本はフュージョン・ジャズだが、さすがプロデューサー的な役割も兼ねることもあって、今風の、コンテンポラリーなジャズのトレンドをしっかりと押さえているところは見事である。ハウス、ユーロ、ヒップホップから派生するリズム&ビートが実に「クール」である。

要所要所で、ロバート・グラスパーを想起させるリズム&ビートは、実に耳に新しく響く。そこに、ファンクネス溢れ、適度のラフなメイソンのドラムが、しっかりとリズム&ビートを供給する。21世紀のジャズ、21世紀のコンテンポラリー・ジャズなリズム&ビートの響きが新しい。

「東のガッド(スティーヴ・ガッド)、西のメイソン(ハービー・メイソン)」と言われるほど、21世紀のコンテンポラリー・ジャズなドラマーとして、人気を二分するフュージョン・ジャズ界の最高峰ドラマーの一人である。このアルバムでも、そのドラミング・テクニックは非凡なものがある。真似出来ない適度なラフさとファンクネス。 

「Chameleon」以外、キャッチャーなメロディーを持つ楽曲が少なく、演奏全体の雰囲気が少し地味なのが玉に瑕ですが、演奏的には申し分ありません。テクニック優秀、歌心溢れ、ポジティブなアドリブが展開されるところは、フュージョン・ジャズ譲り。

そこに、今風のトレンディなリズム&ビートである「ハウス・ユーロ・ヒップホップ」の響きが加味されて、十分に今風のコンテンポラリーなフュージョン・ジャズなアルバムに仕上がっています。さすが、プロデューサーとしての側面を持ったドラマーですね。導入されたリズム&ビートが実に粋でクールです。 

 
 

★震災から3年3ヶ月。決して忘れない。まだ3年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

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コメント

すいません。(^^ゞドラムが好きなもので、こちらを拝見しながら「フュージョンドラムスタイル」?についてあれこれ感じることを。

たとえばチェットベイカーの「枯葉」(CTI)やジムホールの「アランフェス」(CTI)のドラマーはどちらも若き日のスティーブガッドですが、これらのアルバムにおけるガッドの4ビートはとても独特なノリであることがわかります。

いわゆる「横ゆれスイング感」というよりは「縦ノリ4ビート」?ともいえる独特の「ギッコンバッコン感」?^_^;の4ビートですね。

あれ?この感じ・・以前もどこかで体験したなあ・・と自問自答しますと、日本のロックグループのクリエイションの演奏した「危険な関係のブルース」を聴いた時の違和感と通じる感覚でした。

ガッドは基本的には16ビートのドラマーだと思っていますが、クリエイションなどのロックバンドが演じる4ビートはやはり「縦ノリ」を感じます。

思うに、ロック中心に聞いて育った世代にとっての4ビート感は少しちがうよなあ・・と思うのです。

特にこのことを強く感じるのは他に有名なロックバンドでいいますとテンイヤースアフターの長尺4ビートアドリブにも同じく「縦ノリ」(ベース、ドラムとも)を感じることが多いです。

これを好きか嫌いか?は色々ですが、果たしてガッドの場合それが意識的であったのか、あるいは「伝統的な4ビートが出来なかった(やる気がなかった)」^_^;とみるかはプロの間でも意見が分かれるようですね。(ドラムの専門誌の対談より)。

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