MJQ解散コンサートのライブ盤
一昨日、Modern Jazz Quartet(以降MJQと略す)の『Reunion at Budokan 1981』をご紹介した訳だが、やはり、この再結成ライブ盤を聴くと、1974年の解散コンサートのライブ盤が聴きたくなる。ということで、今日は久し振りに『The Last Concert』をじっくりと聴いてみた。
MJQ好き、MJQ者の僕としても、この『The Last Concert』は、そうそう聴くことが無い。当時、MJQの解散は、ジャズ者にとって、かなりショッキングな出来事だったそうで、このライブ音源を聴くと、聴衆の悲しみがひしひしと伝わって来て、ちょっとその悲しみが、このライブ盤から伝染したりするのだ。
演奏する側、Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds)の4人の演奏も、通常のそれぞれ4人の演奏とは異なる、鬼気迫る様なテンションの高い演奏を延々と繰り広げる。エンタテイメント性を全く追求することの無い、アーティスティックでストイックな演奏の数々。聴き進めるうちにグイグイ惹き込まれていく。そして疲れる(笑)。
このMJQの解散コンサートの音源は、『The Last Concert』のタイトルでリリースされたLP時代は2枚組、AB面で7曲、CD面で7曲の全14曲。コンプリートを謳った『The Complete Last Concert』はCD2枚組で全22曲、トータル収録時間148分、2時間30分弱にも及ぶボリュームである。
このライブ盤は特別なシチュエーションでのライブで、20年に及ぶ活動の後、Moden Jazz Quartetが解散する時のコンサートのライブなのだ。冒頭の名曲「Softly, As in a Morning Sunrise(朝日の如くさわやかに)」から、張り詰めた心地良い緊張感を感じる。
これが最後の演奏なのだ、という思いが、メンバーのそれぞれの演奏から迸っている。リーダー格のジョン・ルイスのピアノは意外と普段通り、余裕の演奏を聴かせているのだが、もう一人のフロント、ヴァイブのミルト・ジャクソンは鬼気迫るテンションのヴァイブ弾きまくり。
「MJQの一員としてのヴァイブ演奏はこれが最後なのだ」と語りかける様に、お得意のファンクネスを封印して、MJQとしてのヴァイブの音を心ゆくまで聴かせてくれる。ここまで、アーティステックなミルトのヴァイブは他に聴いたことが無い。
このラスト・コンサートで、その存在を再認識させられたのが、ドラムのコニー・ケイとベースのパーシー・ヒース。とにかく上手いのなんのって。こんなに上手くて味のあるドラムとベースはそうは無い。ルイスのピアノとミルトのヴァイブのアドリブが素晴らしいのは、こんな素晴らしいドラムとベースがあってこそ。そういう事実をこのライブ盤は再認識させてくれる。
とにかく解散コンサートの様子を収録したライブ盤なので、演奏する側も演奏を聴く側も、相当なテンションを持って対峙しており、アルバム全編を聴き通すと、とにかくドッと疲れる。ついつい集中して聴いてしまう位の、演奏の「惹き」なのだ。
よって、CD2枚組の『The Complete Last Concert』の全2時間半はとにかく疲れるので、実はあまり通して聴いたことが無い。CD1枚ずつ、別の日に聴くという感じだろうか。そうすると、解散コンサートの再現という雰囲気は希薄になって、どうにも「上手くない」。
全編聴き通して、解散コンサートの再現という雰囲気を堪能するには、LP時代の全14曲、トータル1時間半弱の長さが実は適当だったりする。実のところ、最近の僕は、このLP時代の全14曲編成のハイレゾ音源を愛聴している。
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