チック者にとって嬉しいライブ盤
昨年の9月のリリースになる。CD3枚組というボリュームで、これはもはや「アルバムを売りたい」という商売っ気は全く無いアルバムなんだろうな、と思った。逆に、それぞれの楽曲の演奏の内容が充実していて、オミット出来る音源がなかなか見当たらないので、商売っ気よりも、音源のリリースを優先したのか、とも思った。
長年、チック者をやっている身として、今のチックなら、そういうこともやりかねんなあ、と思った。しかし、CD3枚組とはなあ。かなりボリューミーである。しかも日本だけでの発売。価格もネットで買っても4500円前後(今ではもう少し安くなっているかな)と高額。チックのファン以外はなかなか入手する気にはならないだろう。
そのCD3枚組ライブ盤とは、Chick Corea『Trilogy』(写真左)である。2010年の東京から、そして、2012年秋から冬にかけての欧州ツアーから、ライブ音源をセレクト。セレクトした結果、CD3枚組になってしまったというライブ盤。
ちなみにパーソネルは、Chick Corea (p), Christian McBride (b), Brian Blade (ds)。このトリオは、全てアコースティックで通している。アコピ、アコベ、そしてドラムと、ピアノ・トリオの基本形を踏襲した魅力的な編成である。
チックは、ピアノ・トリオをやる場合、ベーシストに恵まれた時、とてつもないパフォーマンスを発揮する。いわゆる「化学反応」が起きる確率が格段に高くなる。今回、参入したベーシストが、クリスチャン・マクブライド。2006年リリースの傑作ライブ盤『Super Trio』でその抜群の相性は証明済み(2013年10月28日のブログ・左をクリック)。
そして、チックは、ベーシストに恵まれた時、そのトリオでやりたいこと、そのトリオの方向性に見合ったドラマーを選定する。今回は、フル・アコースティックな伝統的なピアノ・トリオ。しかし、そのピアノ・トリオで、時代の最先端を行く、コンテンポラリーなピアノ・トリオのパフォーマンスを狙っている。そんな狙いに沿って選ばれたドラマーがブライアン・ブレイド。
Disc1では、チック、マクブライド、ブレイドのトリオの代表的な演奏が聴ける。このトリオの代表的な演奏が聴ける。このトリオのベスト盤の様な内容。ピアノ・トリオとして安定した演奏をチョイスされているようだ。聴いていて安心するというか、安定しているのではあるが、このトリオのメンバーの力量からして「こんなもんでは無いだろう」という思いがどうしても残る。
そして、Disc2に進むと、やっと、このピアノ・トリオの本当に力量に見合った、とても尖ったインプロビゼーションを体験することが出来る。スタンダード曲の「イット・クッド・ハプン・トゥ・ユー 」、セロニアス・モンクの名曲「ブルー・モンク」、そして、スクリャービンの「24の前奏曲 作品11 第9番」の演奏が素晴らしくコンテンポラリーしていて、見事なパフォーマンスを聴かせてくれます。聴き応え十分。
Disc3はチック者への贈り物。Disc2のピアノ・トリオの超絶技巧でコンテンポラリーな演奏の続編というよりは、チックのピアノを心ゆくまで堪能出来るボーナス盤の様な雰囲気。特に、ラストの「Someday My Prince Will Come」のゲイル・モランのボーカルの歌伴を務めるチックのピアノは絶品。ボーカルの歌伴もバッチリ。やはりチックは素晴らしい。
全く濃い内容のピアノ・トリオ盤です。ライブ感も心地良く、とても良いライブ盤に仕上がっています。しかし、今年73歳のチックがこれだけのピアノ・トリオ盤をリリースした訳ですが、他のピアノ・トリオ盤で、このチックのトリオ盤の内容を凌駕するアルバムが、あまり見当たらないのが不安と言えば不安。
逆に、70歳を過ぎても、チックのアコピの素晴らしさは変わらない。現代のジャズ・ピアノにおいて、第一人者の地位は揺らがない。このCD3枚組ライブ盤は、チック者にとっては全くもって満足出来る、とても嬉しい贈り物です。当然、我がバーチャル音楽喫茶『松和』ではヘビロテ盤となってます。
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