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2014年3月18日 (火曜日)

ニューヨークの溜息、日本の恋人

3月14日のブログ(左をクリック)で、Helen Merrill & Gil Evans『Collaboration』を採り上げた訳なんだが、早速、その元となった、Helen Merrill & Gil Evans『Dream Of You』(写真左)を久し振りに聴き返してみた。

改めて、この『Dream Of You』というアルバムは、「ニューヨークの溜息」と評され、今では大ベテランとなった女性ボーカリスト、ヘレン・メリルの秀作である。1956年7月と1957年2月の2回のセッションを収録している。

アレンジはGil Evans。そして、バック・バンドは、Oscar Pettiford (b), Hank Jones (p), Joe Morello (ds) のリズム・セクションをベースに、トランペットにはArt Farmerが名を連ねている。

ヘレン・メリルについて、ちょっと触れておこう。ヘレン・メリルはNY生まれ。両親はクロアチア人。1946年から1947年にかけて、ビッグバンドの一員として活動を始める。そして、1954年12月、初リーダー盤『Helen Merrill』、邦題『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』を録音。

この初リーダー盤には、トランペットにクリフォード・ブラウンが全面参加、クインシー・ジョーンズが編曲を担当。ヘレン・メリルの代表盤の一枚となった。特に「You'd Be So Nice To Come Home To」は名演中の名演として、つとに有名。

1960年11月、初の日本公演。1963年にも来日。1966年頃、結婚を機に日本に移住。幾枚か日本人ジャズメンとの共演盤をリリース。その後、離婚を経て、1972年には米国に帰国して音楽活動を停止するが、1976年に活動を再開。親日家であり、活動再開後は数多く来日、ライブ・コンサートを中心に活動している。「ニューヨークの溜息、日本の恋人」って感じですね。1930年生まれなので、今年で84歳になります。
 

Dream_of_you

 
このヘレン・メリルのキャッチフレーズ「ニューヨークの溜息」を、この『Dream Of You』では十二分に堪能出来ます。ミッド・テンポのメリハリのある曲が多く、ヘレン・メリルの歌唱が実に映える。当時、24歳の歌唱なので、声に張りがあって力がある。健康的なお色気も漂って、さすが、このアルバムでのヘレン・メリルは良い。

そして、そのヘレン・メリルの歌唱を更に際立たせるのが、ギル・エバンスのアレンジ。後のギル独特の音の重ね方と漂う様な音の展開は控えめなんですが、それでも、ちょっと聴くと、ギルのアレンジと判る強い個性。しかし、その強い個性をグッと押さえて、ヘレン・メリルの歌唱を際立たせるよう、一音一音に配慮が行き届いている。

それはそれで正解でしょう。なんせ、このアルバムって、ボーカリスト、ヘレン・メリルのリーダー盤ですからね。まずは、何はともあれ、ヘレン・メリルの歌唱が際立つのは当たり前と言えば当たり前。さすが、ギル・エバンス。プロフェッショナルな仕事をしっかりとしていますね。

ヘレン・メリルとギル・エバンスのコラボ盤なんですが、この盤は、あくまでヘレン・メリルの歌唱を愛でるのが中心のアルバムです。ギル・エバンスのアレンジは、あくまで歌伴のアレンジに徹しているということで、余り目立つことはありません。

そこが良いんですけどね。でも、良い雰囲気の女性ボーカル盤です。春を迎えつつある、この季節にピッタリですね。
 
 
 
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Never_giveup_4

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コメント

松和のマスター様 こんばんは

ヘレン・メリルは『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』だけで
満足しきっていたのですが、これも良さそうですね。

24歳で大ベテランですか。かっこいい。


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