『Since We Met』と『Re: Person I Knew』
ビル・エバンスは、彼の音楽遍歴の中で、節目となる時期には、必ず、ビレッジ・バンガードに帰って来る。そういう意味で、ビレッジ・バンガードは、ビル・エバンスのホームグラウンド的位置づけのライブ・ハウスである。
1974年、ビル・エバンスは、Fantasyレーベルと契約を結ぶ。その節目の時期に『Since We Met』(写真左)と『Re: Person I Knew』(写真右)の2枚のビレッジ・バンガードでのライブ盤を残している。パーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b), Marty Morell (ds)。1974年1月11,12日のライブ録音である。
エバンス+ゴメス+モレルのトリオは、1969年頃からの活動で、このビレッジ・バンガードでのライブ盤を出した時期は、1974年なので、既に5年余りが経過しており、その演奏内容は既に成熟の域に達している。ライブ収録されたどの曲も、ピアノ・トリオの演奏として素晴らしい出来である。
エバンスのピアノは、全体の傾向としてはアグレッシブなタッチではあるが、要所要所では繊細でリリカルな表現を織り交ぜていて、雄弁であり、バリエーションとメリハリ豊かなピアノである。聴き応え十分であり、ジャズ・ピアノのお手本として、聴きどころ満載である。
ゴメスのベースは太くて明確で、これまた雄弁。ゴメスが紡ぎ出すフレーズは、しっかりとエッジが立っていてメロディアス。ゴメスのベースは、エバンスのピアノと対等に渡り合う、柔軟かつ応用力のあるインプロバイザーである。とにかく、ベースラインが明確かつ雄弁。
当初、叩きすぎなどと揶揄されたモレルのドラムは、ここに来て、エバンスのピアノとゴメスのベースとのバランスを良く考えた、良い塩梅なリズム&ビートを供給する。エバンスとゴメスのインプロビゼーションは明確にして雄弁。それに対して、叩きすぎず、少なすぎず、エバンスとゴメスのインプロビゼーションのリズム&ビートを支える、とっても良い塩梅のドラミングを繰り出して立派だ。
収録された曲を見渡すと、エバンスの自作曲と小粋なスタンダート曲とを上手く織り交ぜており、聴いていて楽しく、聴いていて興味深い。スタンダード曲については、エバンス独特の選曲基準があるみたいで、エバンスが弾いて「なるほど」と唸らせる、エバンスのピアノ、エバンスのアレンジが映えるスタンダード曲を上手く選曲している。
この『Since We Met』と『Re: Person I Knew』は、2枚一気に聴き通すことをお勧めする。それぞれに収録された演奏は甲乙付けがたい。どちらがどう、というものではない。1974年の節目の時期のビレッジ・バンガードのライブ音源として、一気に聴き通したい。
この1974年1月のビレッジ・バンガードのライブ以降、1980年9月15日に鬼籍に入るまで、ビル・エバンスのジャズメンの歴史としては、後期&晩年に当たる活動期になる。そういう意味でも、ビル・エバンスは、節目となる時期に、必ず、ビレッジ・バンガードに帰って来るのだ。
つまりは、この『Since We Met』と『Re: Person I Knew』の2枚のライブ盤は、そのビレバガに帰ってきた瞬間を捉えた、優れたライブ盤なのだ。このライブ盤は、エバンスのトリオ演奏として外せないライブ盤ですね。良い内容です。
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松和のマスター様 こんばんは
「NIGHT AT BIRDLAND」でも続けて聴いたことがない自分にはハードルが高いですが、機会があれば2枚続けて聴いてみようかな、と思います。
「繊細でリリカルな表現」というのがこの頃のビル・エヴァンスの魅力ですね。
投稿: GAOHEWGII | 2014年3月25日 (火曜日) 22時42分