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2014年2月 4日 (火曜日)

Miles Davis『We Want Miles』

最近、朝のスタートは、エレ・マイルスのライブボックス盤『The Complete Miles Davis at Montreux』で始まる。毎日がエレ・マイルスのライブで始まる。今日、聴いていたのは、1986年7月17日のモントルー・ライブ。第二期エレ・マイルス・バンドの演奏である。

その第二期エレ・マイルス・バンドはいつ始まったのか。それは、1981年7月のことである。Miles Davis『The Man with the Horn』が、そのマイルス復活の狼煙、第二期エレ・マイルス・バンドの始まりである。

マイルスの意図は明確で、エレクトリック・サウンドをアレンジ、サウンドの一部として使いこなしつつ、ダンス・ミュージック、ブラック・ミュージックのエッセンスをオープンに取り入れつつ、ジャズのベースとなるビートはしっかりと押さえて「コンテンポラリー・ジャズの最先端」のプロトタイプを明快に提示していた。

この第二期エレ・マイルス・バンドは、エレクトリックな楽器をメインとしながら、出てくる音は、メインストリーム&コンテンポラリーなジャズであった。硬派で格好良い、エレクトリックな純ジャズだった。

しかし、この『The Man with the Horn』はスタジオ録音のアルバムであった。スタジオ録音であれば、音は結構、加工出来るし、編集も出来る。良いとこだけチョイスし、上手くいった演奏だけチョイスし、貼り付けることだって出来る。やはり、ライブ盤が聴きたかった。本当にマイルスは復活したのか。

そういう想いに即座に応えてくれるから、僕はマイルスが大好きだ。1982年5月のことである。Miles Davis『We Want Miles』(写真左)がリリースされた。待望の第二期エレ・マイルス・バンドのライブ音源。しかも、LP二枚組という満足のボリューム。
 

We_want_miles

 
ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp), Bill Evans (ss), Mike Stern (el-g), Marcus Miller (b), Al Foster (ds), Mino Cinelu (per)。ああ、懐かしい。第二期エレ・マイルス・バンドの最初のパーソネルである。そう、このメンバーに「やられた」んやな、当時(笑)。

1981年6月27日、ボストンのKix Clubと、1981年7月5日、ニューヨークのAvery Fisher Hall、そして、1981年10月4日、日本の新宿西口広場でのライブ音源を収録。凄まじいばかりのエレ・マイルス・バンドの怒濤の演奏が繰り広げられている。

とにかく、このライブアルバムは凄い。今の耳にも新しく響く「その凄さ」。エレクトリック・ジャズでありながら、当時、流行のフュージョン・ジャズなんて全く無視。エレクトリック・ジャズをベースに、思いっきり最先端な、思いっきりメインストリーム&コンテンポラリーなジャズをやっている。

今の耳で聴いても、全く古さを感じさせないどころか、今のジャズ界で、これだけの思いっきりメインストリーム&コンテンポラリーなジャズをやる、ヒップでクールなジャズ・バンドってあるのかなあ、なんて思ってしまう。むっちゃ迫力のあるエレ・マイルスである。

隠遁前の第一期エレ・マイルス・バンドと比べて、生き急ぐような高テンションと、ちょっと病的な超重量級なファンクネスが去り、見通しの良い、爽快感溢れる適度なテンションと、重量級ではありながら、どこか軽快な、クールなファンクネスが全面に押し出て、健康を取り戻したマイルスがミュートにオープンに、バリバリとヒップに吹きまくる。

『We Want Miles』。我々はマイルスを欲している。今、見てもむっちゃ格好良いタイトル。ジャケットも格好良い。エレ・マイルスの傑作ライブ盤である。
 
 
 
★大震災から2年10ヶ月。決して忘れない。まだ2年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

『松和』のマスター様 こんばんは

この時代のマイルスはスルーして、一気に遺作に行ってしまっていました。
仰るとおり、軽快でどこか飄々としている吹きっぷりですね。
音に隙間がある分、すっきりしていて聴きやすいです。

この時代のものも今度聴いてみます。
レビューありがとうございました。

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