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2014年2月12日 (水曜日)

PMUG独特の個性的なリズム&ビート 『KIN(←→)』

最近のパット・メセニーの活動は、ちょっとややこしい。以前は、パット・メセニー・グループ(以降「PMG」と略す)としての活動とソロとしての活動の二本立てだった。最近は、そこに、2012年リリースの『Unity Band』から派生した「パット・メセニー・ユニティ・グループ(PMUGと略す)」が新しく立ち上がって、パットの活動は3本立てになった。

PMUGのパーソネルは、Chris Potter (ts,b-cl,ss), Pat Metheny (g, g-syn), Ben Williams (b), Antonio Sanchez (ds)。元々は、2005年のパットのソロ活動の一環として発表したトリオ盤『Day Trip』が起源。しかし、そのトリオの時のベーシストは、Christian McBrideでした。まあ、パットのメインストリーム・ジャズ向きのバンドが「PMUG」ということになりますね。

パットの活動母体は、まずはソロ。そして、盟友であるキーボードのLyle Maysとの双頭バンドがPMGで、フュージョン指向のフォーキーなコンテンポラリー・ジャズが身上のバンド。そして、このPMUGは、メインストリーム・ジャズ向きのバンド。そして、このPMUGの新譜がこの2月に出た。

Pat Metheny Unity Group『KIN(←→)』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Pat Metheny (g, g-syn), Chris Potter (ts,b-cl,ss,fl), Ben Williams (b), Antonio Sanchez (ds), Giulio Carmassi (multi-inst.)。2012年の『Unity Band』のカルテットに、新たにイタリア出身のマルチ・インストゥルメンタル奏者ジュリオ・カルマッシが参加して、今回はクインテットの構成。

この最新作の解説を紐解くと「KINとは血縁・親族のこと。現在のパット・メセニーの音楽は、メセニー以前の偉大なミュージシャンから以後のミュージシャンと音楽的につながっている(血縁)ことを表している。(←→)の記号もメセニー以前、以後を表している」とのこと。ほうほう、そういうことなのね、とも思うし、それが一体何なんだ、とも思う(笑)。
 

Pmug_kin

 
とにかく、この新譜を聴いてみる。徹頭徹尾、メインストリーム指向のコンテンポラリー・ジャズである。日和った所や迎合した所の全く無い、硬派で実直なコンテンポラリー・ジャズ。これだけ高度な演奏を軽快に展開する。全く爽快である。

どこかジャコ・パストリアスを想起させるしなやかで弾力のあるベン・ウィリアムスのベース。明らかに個性的で今までに無いポリリズムがクールなアントニオ・サンチェスのドラム。そこに、今回は、マルチ・インストゥルメンタル奏者ジュリオ・カルマッシが、様々な楽器で様々な音の彩りを添える。

そのリズム・セクション+αをバックに、ちょっとコルトレーンの香りがする、今は亡きマイケル・ブレッカーを実直にした様なクリス・ポッターのテナーが印象的。そして、パット・メセニー御大のエレギ、アコギ、ギターシンセが音色豊かに乱舞する。新しい響きが煌めくリズム&ビートをバックに、フロントのテナーとギターが大変美しい。

伝統に根ざしたモーダルなハードバップ・ジャズの音の響きを宿しつつ、アルバム全体の演奏は現在のジャズの最先端をいく、新しい響きが美しい。PMUG独特の個性的なリズム&ビートが、今後の可能性の拡がりを示唆する。現在のコンテンポラリー・ジャズの最先端の演奏を聴かせてくれる。

硬派で実直なコンテンポラリー・ジャズではあるが、聴いていて新しい響きや新しいアプローチが楽しくて飽きない。まだまだ発展途上な仕上がりなんだけど、聴き応えのある、なかなかの魅力盤だと思います。暫く、我がバーチャル音楽喫茶『松和』ではヘビロテです。
 
 
 
★大震災から2年11ヶ月。決して忘れない。まだ2年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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