マイナーレーベルに優秀盤あり
ジャズは、コロンビアやヴァーヴといったメジャーなレーベルばかりでは無い。マイナーなレーベルからも、これは、と思うようなアルバムがリリースされたりするので、ジャズ盤のリリース情報からは目が離せない。毎日、情報メールやサイト巡回でチェックは欠かせない。
例えば、このEddie Gomez with Jeremy Steig『What's New at F』(写真左)。フルートの鬼才・ジェレミー・スタイグと、アコースティック・ベースの達人・エディ・ゴメスとの競演盤である。
このアルバム、Fレーベルという、岐阜の山の中の笠原町、藤井修照が主宰するマイナーレーベルの制作で、インターネット通販が主な販売方式。しかしながら、このレーベルの自主制作するアルバムは、どれも大変優れた内容で、どれもが地に足ついた、魅力的な純ジャズである。
その中の一枚、「トリビュート・トゥ・ビル・エバンス」コンサートのライブ・レコーディング。先に紹介した、ビル・エバンスとジェレミー・スタイグの競演盤「What's New」の再現。とにかく、演奏メンバーが凄い。Eddie Gomez (b) 、Jeremy Steig (fl) 、Jimmy Cobb (ds) 、Stefan Karlsson (p)。2001年4月14日、studioFでの録音になる。
各人それぞれが名人達人の域。その名人達人が、32年の時を経て「What's New」を再現、いや、重量感ある音と存在感のある音と卓越したテクニックと歌心溢れるインプロビゼーションで「What's New」に新たな生命を吹き込んだような、そんな素晴らしいアルバム。
エモーショナルなフルートが特徴のジェレミー・スタイグは言うに及ばず、ビル・エバンスの恋人、タイトで重量感溢れるベースが特徴のエディ・ゴメス。当時72歳とは思えぬエネルギッシュなドラミングが驚異のジミー・コブ。エバンス・チックながら、その重量感が特徴のステファン・カールソンのピアノ。
収録されたいずれの曲も、ビル・エバンスなじみの曲がズラーッと並ぶが、どの曲も優れた内容で甲乙つけがたい。
特に、ジェレミー・スタイグのフルートは、時に優しく時に激しくエモーショナルに迫ってくる感じは鬼気迫るものがある。エモーショナルな表現と言えば、息を激しく吹き込むと同時に唸り声を伴うあたり、ピアノのキース・ジャレットに相通じるものがある。
ジェレミー・スタイグのフルートを聴いていて、フルートでジャズのソロ演奏をするには、この激しくエモーショナルな表現力を身につけていなければ、抑揚とメリハリに富んだソロが吹けない、と改めて感じた次第。凜として、切れ味の良いフルートの調べは、冬の季節にピッタリですね。
しかし、こんなアルバムが、インターネット通販に潜んでいるなんて、う〜ん、隅に置けないなあ。このアルバムが全国津々浦々のCDショップで購入できないのは残念だが、インターネット通販の手間をかけてでも手に入れて頂きたい、そんな素晴らしいアルバムです。
(Fレーベルはこちら = http://www.dr-fujii.com/jazz/index.html)
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