モントルーのマイルス・1973年
Miles Davis『The Complete Miles Davis At Montreux 1973-1991』(写真)の聴き直しを始めた。思うことがあってのことなんだけど、20枚組のCD BOX盤なんで、ちょっと大変なんだが、毎日一枚、20日間かけて聴き通そうという魂胆である。
このCD BOX盤、マイルスがモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演した際のライブ音源である。マイルス隠遁前の、エレ・マイルスまっしぐらな1973年の演奏。それから、隠遁生活からカムバックした後、1984年から1991年までの「第二期エレクトリック・マイルス」のライブ音源(1987年を除く)。
基本的には、マイルスがモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演した年毎にCD2枚に収録され、例外として、1984年と1985年は昼の部と夜の部に分けてそれぞれCD各2枚に収録。この仕様でCD計20枚の超弩級のボリュームのボックス盤となっている。
これで、マイルスのモントルー・ジャズ・フェスティバルに関するブート音源は淘汰された。僕は、ブート音源には極力、手を出していない。ブート音源にまで手を出したら、何を目的にしたアルバム・コレクションなのかが判らなくなる。加えて、財源にも支障をきたす。ジャズのアルバム蒐集に「ブートは御法度」である。
よって、このマイルスの超弩級のボリュームのボックス盤は、僕にとって、実にウエルカムなものである。しかも、音も良く、聴き心地満点。いや〜、Waner Musicさん、良い仕事をしてくれました(拍手)。
さて、今日は、CD1&CD2の『1973年7月8日のマイルス』について語ろう。ちなみにパーソネルは、Miles Davis (tp, org), Dave Liebman (ss, ts, fl), Reggie Lucas (el-g), Pete Cosey (el-g, per), Michael Henderson (el-b), Al Foster (ds), Mtume (per)。
キーボーティストが抜けて、リーブマンとルーカスの2本のエレギが中心の「ギター・エレ・マイルス」である。1974年の『Dark Magus』の音につながる、ソリッドで重心の低い、リズム&ビートの効いた、グルーヴ感溢れるファンキーなエレクトリック・マイルスである。
混沌と疾走感がまぜこぜになっていて、本当にフリー一歩手前で寸止めで止めたような、混沌としたギター・ソロと、リズム&ビートにしっかりと乗った、整然としたリズム隊、その中にクッキリと浮かび上がるマイルスの、音を増幅し、ワウワウを効かせたトラペットのソロ。
1975年以降の隠遁生活に入る前のエレクトリック・マイルスの最終形に向かうライブ演奏がしっかりと記録されていています。なかなか素晴らしい内容で、1974年の『Dark Magus』の凄まじい演奏内容に匹敵するものです。こんな内容のあるライブ音源が倉庫に眠っていた訳ですから、この20枚組のCD BOX盤のリリースは大きな意味があったということ。
この1973年のライブ音源は、モントルーの聴衆の反応が面白い。演奏が終わって、一気に凄いなあ、ワーッと来ないんですね。ちょっと戸惑いがあって、ちょっとブーイングな気持ちが漂って、それでもやっぱり凄いんやないかなあ、ワーッって感じが、当時のエレクトリック・マイルスの評価を如実に物語っている様で面白いです。
当時のエレクトリック・マイルスは、聴き手のレベルを凌駕していたということですね。さすが、常にジャズの先端を走るマイルスの面目躍如です。
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