音楽喫茶『松和』の昼下がり・13
真冬の季節、暖房の効いた暖かい店内。昼ご飯時の喧噪が去った昼下がり、コーヒーを飲みながら、ゆったりと聴くジャズ。ちょっと微睡みながら聴くジャズは本当に心地良い。
そんなバーチャル音楽喫茶『松和』の昼下がり。意外とヘビロテになっているジャズ・ピアノ盤がある。Chano Dominguez『Flamenco Sketches』(写真左)。Chano Dominguezは「チャノ・ドミンゲス」と片仮名表記する。スペインのピアニストである。
ドミンゲスは、異色の経歴の持ち主で、最初はプログレッシブ・ロック・バンドのCAIに所属。後にジャズ・ピアニストに転身し、コンテンポラリー・ジャズ、フュージョン・ジャズの世界で活躍中。特に、スパニッシュ系のジャズが得意である。
NYのクラブ「スタンダード」でのライブ録音。2012年3月のリリース。ちなみにパーソネルは、Chano Domínguez (p), Mario Rossy (b), Israel “Piraña” Suárez (per), Blas “Kejío” Córdoba (vo, hand claps), Tomás “Tomasito” Moreno (hand claps)。ドラムレス。ベースとパーカッションとハンド・クラップの「リズム隊」。
ジャズ者であれば、タイトルからなんとなく類推出来る。これって、マイルスの『Kind of Blue』のカバーアルバムではないかと。はい、そうです(笑)。この『Flamenco Sketches』は、マイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』発表50周年トリビュートのアルバム。
演奏全体の印象は、スパニッシュな雰囲気満載のコンテンポラリー・ジャズ。まず、チャノ・ドミンゲスの、深い響きを湛えた、リリカルでパッション溢れるピアノが凄く印象的。硬質なタッチも見え隠れして、スパニッシュなフレーバーも相まって、ちょっと、チック・コリアのピアノをイメージしたりする。
そこに、フラメンコでお馴染みの歌(vo=カンテ)や手拍子(hand claps=パルマ)が加わり、スパニッシュなフレーズ満載の名曲と、そのフレーズを奏でるドミンゲスのピアノと渾然一体となって、スパニッシュでフォーキーな音世界が広がります。民族音楽的な響きが良いですね。
この歌(vo=カンテ)や手拍子(hand claps=パルマ)の存在をどう感じるかによって、このアルバムの楽しみ度合いが変わります。僕はこのアルバムの音世界が気に入っています。カンテなどは、思いっきりスパニッシュ・ネイティブな響きが堪りません。パルマもそんなスパニッシュな音世界に拍車をかけ、音のイメージは、もはや「スペイン音楽」ドップリ。
ジャズがだんだんフラメンコな雰囲気に染まっていく展開は圧巻です。クラブの中も、どんどんヒートアップしていく様が、とてもよく感じ取れます。ジャズとスペイン音楽の融合。意外と硬派なフュージョン・ジャズとも解釈できます。
一言で言うと「ユニーク」なピアノ・ジャズ。スパニッシュな響きが堪らない。とにかく、この『Flamenco Sketches』は、ドミンゲスのピアノの音がとても美しく、昼ご飯時の喧噪が去った昼下がり、コーヒーを飲みながら、ゆったりと聴くのに相応しいアルバムですね。
大震災から2年10ヶ月。決して忘れない。まだ2年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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