エディ・ヒギンスのXmas曲集
ジャズ・ピアノのクリスマス・ソング集って、なかなかに難しいなあ、と最近、思うようになった。クリスマス・ソングっていうのは、フレーズにとても親しみがあって、無駄な音が無い、実にシンプルな構成の曲が多い。これって、演奏する側からすると、結構、ややこしい。
テクニックが不足していると、曲自体がシンプルが故に、テクニック不足がモロに露呈してしまう。逆にテクニックがあればあったで、そのテクニックにモノをいわせてバリバリやると、やっぱり、曲自体がシンプルが故に、テクニック過剰なウルサさが鼻についてクリスマス・ソングの持つ敬虔さなんか吹っ飛んでしまう。
アドリブだって、あんまり複雑にすると、クリスマス・ソング自体のシンプルさが損なわれて、何がなんだか判らなくなってしまうし、あんまり単純すぎると、軽音楽的な、カクテル・ピアノと変わらなくなってしまう。
つまり、ジャズ・スタンダードの中でも、クリスマス・ソングのスタンダードって、ジャズ・ピアノの素材としては、結構、難度が高いんじゃないか、って思う今日この頃。そういえば、ジャズ・ピアノのクリスマス・ソング集って、あまり聴いたことが無い。
ということで、今回、ピアノ・トリオのクリスマス・ソング集としては屈指の、優れものアルバムをご紹介しましょう。ジャズ・ピアノの翁、Eddie Higginsの『Christmas Songs』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Eddie Higgins (p), Jay Leonhart (b), Joe Ascione (ds)。意外と2004年7月の録音です(笑)。
さて、もともと、エディ・ヒギンスってジャズ・ピアニストは、そのタッチは「端正かつシンプルでいて、しっかりスイング」って感じで、ピアノ・トリオのクリスマス・ソング集にはもってこいの人である。饒舌でもなく舌っ足らずでもない。
しっかりしたタッチでカッチリとスイングし、カッチリとまとめる。そう書くと「面白みに欠けるのでは」という懸念が浮かぶが、それは杞憂。しっかりスイングしているので、ジャズ的にしっかり楽しめ、しっかりと「のれる」のだ。
バックでサポートする、ベースのレオンハート、ドラムスのアシオーネは、ヒギンスのピアノにピッタリ、「端正でシンプル」なサポートをしていて立派だ。
このアルバムのどの曲でも、ヒギンスとバックのドラム&ベースは、まさに「手と手袋の関係」のようにピッタリくる。出過ぎず足らなさ過ぎず、まさに「適量な」バッキングとはこのことだ。
1曲目の「Let It Snow」を聴いて欲しい。僕のそんな気持ちを判ってくれるはずだ。奇をてらうこと無く過不足無く、クリスマスなスタンダード曲を朗々と歌い上げていく。とにかく聴いていて、なんだかホッとするのだ。そして、クリスマス・ソングならではの「敬虔な気持ち」が心の中に盛り上がる。いや〜、これぞクリスマス・ソング集だ、って気にさせられる。
耳慣れた大スタンダードから、ちょっと隠れた名曲まで、全12曲、どれを聴いても楽しめる、憎い選曲も、まったくもって申し分ない。今年のクリスマスは、この1枚で「決まり」だ。
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