音楽喫茶『松和』の昼下がり・11
リー・コニッツ(Lee Konitz)とウォーン・マーシュ(Warne Marsh)、クール派のレニー・トリスターノ・スクールの逸材二人のセッションの記録。まるで兄弟のような二人のサックスが効果的に絡まり調和し合う様は、聴いていて気持ち良い。
改めて、今日のアルバムは『Lee Konitz & Warne Marsh』(写真左)。1955年6月の録音。ちなみにパーソネルは、Lee Konitz (as), Warne Marsh (ts), Sal Mosca, Ronnie Ball (p), Billy Bauer (g), Oscar Pettiford (b), Kenny Clarke (ds)。ピアノのみ、ほぼ無名に近い。他は1955年当時、一流と呼ばれるジャズメンとして活躍していた強者どもばかり。
選曲もよく練られていて、なかなかに「粋」。そう、このアルバムは「粋」という言葉がピッタリの雰囲気。
例えば、 冒頭の「Topsy」。憂いを帯びたマイナーなメロディーで始まるが、暗い雰囲気は全く無く、両者のサックスの溌剌さがマイナーなメロディーにほのかな明るさを与え、墨絵の様な陰影のあるメリハリの効いた演奏が素晴らしい。
以降、「There Will Never Be Another You」「I Can't Get Started」といったスタンダード、「Donna Lee」といったビ・バップ曲など変化に富んでいて楽しい。
レニー・トリスターノは、クール・ジャズの最高峰的存在の盲目のピアニスト。自己のトリオで活動する一方で、音楽理論の研究に力を入れクール派として独自の音楽理論を打ち立てる。1951年には音楽学校を開校、リー・コニッツ、ウォーン・マーシュを指導。このアルバムは、このトリスターノの門下生である、リー・コニッツとウォーン・マーシュの共演作。
それを考えると、ハードでクールな演奏が身上の二人が、こんな「ウォーム(Warm)」な演奏を繰り広げるなんて誰も思わない。
しかし、ここではリラックスした二人のサックスの「ウォームで静かな熱気のある」 掛け合い、バトル、ユニゾン、ハーモニーが聴ける。ジャズ・ミュージシャンの本能が、演奏理論を凌駕したセッションの記録である。
どの曲も鼻歌で歌えそうな曲ばかり。しかも、適度な長さで飽きが来ない。加えてジャケットの写真も素敵ですね。寛いだ笑顔の二人がこのアルバムの内容を保証します。
このアルバムの「ウォーム(Warm)」な演奏、我が音楽喫茶『松和』の昼下がりにピッタリの雰囲気です。秋たけなわの昼下がり。晩秋の煌めく様な昼下がりの陽射しの中で、ちょっと微睡みながら聴く「粋」な純ジャズ。至福の一時です。
★大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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