明るく溌剌とした『Sonny Side Up』
このところ、台風の影響なのか、スカッと晴れることが無い。10月と言えば、晴天率が高く、秋たけなわの過ごしやすいシーズンのはず。しかし、今年は、その「秋たけなわ」を全く感じる事が無い。ドンヨリした鉛色の雲が漂い、もう初冬、冬に入ったかのような雰囲気である。
こんな時に、シンプルで感傷的なジャズ、例えば、ピアノ・ソロなどは、もってのほか(笑)。寂しくなって、気分まで暗くなってしまいます。やはり、明るく溌剌としたジャズが良いでしょう。秋とは言え、このところの天候不順を鑑みて、ハードバップなジャズで気分を明るくしたいな、と思います。
そこで、選んだアルバムが、Dizzy Gillespie『Sonny Side Up』(写真左)。ヴァーヴのオーナー&プロデューサーであるノーマン・グランツお得意の有名ジャズマン同士の共演ジャム・セッション。1957年12月19日の録音。ちなみにパーソネルは、Dizzy Gillespie (tp, vo), Sonny Stitt (ts), Sonny Rollins (ts), Ray Bryant (p), Tommy Bryant (b), Charlie Persip (ds)。
ビ・バップのリーダーであるDizzy Gillespie(ディジー・ガレスピー)と、当時テナーの筆頭スターであったSonny Rollins(ソニー・ロリンズ)、さらに、サックスの職人Sonny Stitt(ソニー・スティット)も、本職のアルトを置いて、テナーで参戦。3者共に、ミュージシャンとして好調な時期のジャム・セッションなので、内容としてもなかなかのものに仕上がっている。
典型的なハードバップな演奏展開である。とにかく、聴いていて楽しい。テーマを皆で吹き上げて、順番にインプロビゼーションに突入する。持ち前のテクニックと歌心を惜しみなく出し切って、朗々とダイナミックにインプロビゼーションを展開していく。
有名ジャズマン同士の共演というのは企画としては安直ではあるが、このアルバム『Sonny Side Up』については、ジャム・セッションとして内容充実、アルバムとして成功を収めている。
やはり、当時の若手スターのロリンズと、ベテラン職人のスティットのテナー・バトルが聴いていて楽しい。熱気溢れるブロウを繰り広げていて、とにかく楽しい。そこに、リーダー格のガレスピーのトランペットが絡んで、これまた、ハイ・テクニックで熱気溢れるブロウを展開する。
冒頭の「On The Sunny Side of the Street」が良い。スタンダード曲として、曲の旋律も印象的で、ちょっとルーズな感じのゆったりとしたテンポで、フロント3人それぞれが、それぞれの個性でテナーをペットを吹き上げていく。
バックのリズム・セクションは堅実。地味ではあるが、出しゃばらず、引っ込まず、しっかりとリズム&ビートのキープに徹する。このバックのリズム・セクションの健闘も、このジャム・セッションを成功へと導いた一因だろう。
時には、こんなオールド・スタイルのハード・バップも良い。アレンジもなかなか優れていて、聴いていて飽きない。ガレスピーのペットを愛でるにも良い佳作である。
★大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« こんなアルバムあったんや・28 | トップページ | ハードバップで気分を明るく...『The Arrival of Kenny Dorham』 »
« こんなアルバムあったんや・28 | トップページ | ハードバップで気分を明るく...『The Arrival of Kenny Dorham』 »
コメント