『夜明けの口笛吹き』のモノ盤
2007年10月10日に発売された、Pink Floyd 『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』の 40周年記念デラックス版(写真左)を、まったく遅まきながら入手した。
確か、僕達が高校時代、1970年代中頃のこの『The Piper At The Gates Of Dawn』の国内盤の邦題は「サイケデリックの新鋭」だったような記憶があるのだが、今の「夜明けの口笛吹き」も、なかなか素敵な邦題だ。
ちなみに、この『夜明けの口笛吹き』は、1967年のリリース。ビートルズの『サージェント・ペパーズ』と同じ年にリリースされたピンク・フロイドのファースト・アルバムである。1967年のロック・しーんといえば、ずばり「サイケデリック」。LSDなどの幻覚剤によってもたらされる心理的感覚や様々な幻覚、極彩色のぐるぐる渦巻くイメージ(またはペイズリー模様)によって特徴づけられる視覚・聴覚の感覚(Wikiより引用)を音にしたものが最先端の流行だった。
僕は「サイケデリック」なロックを紹介する時、実は必ずこのピンク・フロイドの『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』を適正な音のサンプルとして選択している。このピンク・フロイドのデビュー盤に詰まっている音は「サイケデリック」の、実に判りやすいサンプルなのだ。
この40周年記念デラックス版を、まったく遅まきながら入手した理由は、Disc1の「モノラル盤」の存在。以前、一度モノラル盤のCD化がなされたが、その時は全く入手する気無しで全くのスルー。実は、ビートルズのモノラル・ボックスを入手し、モノラル盤の音の素晴らしさに触れて、モノラル盤が主流の時代のロック盤のモノラル・バージョンの存在意義を知った。
そして、『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』の 40周年記念デラックス版に、モノラル盤が同梱されていることを思いだし、Amazonを検索したら、まだ在庫があるじゃないですか。しかも、UK盤はリーズナブルなお値段。ということで、今回、購入に至った次第。
早速、モノラル盤を聴いてみましたが、これは素晴らしい。ステレオ盤が終始浮遊感のみを強調していた雰囲気濃厚だったのに対して、モノラル盤は、浮遊感に加えて音が塊となって迫ってくる。
ステレオ盤の浮遊感は、様に音を左右に振った、ちょっとスカスカな空間に漂う「軽い浮遊感」で、雰囲気的には「繊細でデリケートな、ちょっと神経質なサイケデリックな音」な印象です。少し散漫な印象が付きまといます。僕は、学生時代から、この「少し散漫な印象」がどうしても受け入れ難く、この『夜明けの口笛吹き』は、ピンク・フロイドのアルバムの中で、あまり聴かないアルバムでした。
しかし、モノラル盤の浮遊感は、密度があって音が奥に向って重なって、実に奥行き感豊かな「濃厚な浮遊感」とでも形容したら良いでしょうか。音圧が高く、音が太く、「ダイナミックで勇壮なサイケデリックな音」です。モノラルなので左右の拡がりは無いのですが、奥に向っての縦の拡がりと、それぞれの音の重なりが非常に明確。音のエッジも適度に丸く、聴いていて非常に心地の良い音です。
いや〜、モノラル盤の素晴らしさに感動しました。「これぞサイケデリック」な音ですね。このモノラル盤を聴いてしまうとステレオ盤が、ちょっとスカスカで、音が大人しく聴こえてしまう感じがします。面白いですね。ステレオが万能では無いし、モノラルであっても、音の重なり、密度、奥行きが豊かに表現されて、モノラル録音も捨てたもんじゃない。決めつけは良く無いですね。聴いて見て判断する。これが大切だと再認識しました。
暫くは、この『The Piper At The Gates Of Dawn(夜明けの口笛吹き)』のモノラル・バージョンは愛聴盤になりそうです。
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