音楽喫茶『松和』の昼下がり・9
9月3日のブログ「音楽喫茶『松和』の昼下がり・2」(左をクリック)で、ギタリスト・岡安芳明の『Beautiful Friendship』をご紹介しました。岡安芳明と言えば、と記憶を辿れば、そうそう「東京銘曲堂(TMD)」のギタリストでした。
東京銘曲堂(TMD)と言えば、1999年に、川嶋哲郎 (sax)、岡安芳明 (g)、上村信 (b) という、ピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」という、珍しい組合せのトリオ。TMDの十八番は「ジャズ・スタンダード曲」。TMDは、「ジャズ・スタンダード曲」を中心に演奏するユニットとして結成されました。
メンバーそれぞれがリーダー・グループを率いており、恒常的な活動をしているユニットではありませんが、不定期に活動を継続、アルバムもなかなか魅力的なものをリリースしており、「知る人ぞ知る」存在として、ジャズ者ベテランの方々中心に一目置かれている存在です。
僕はこのTMDの演奏が好きで、まず、ピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」というトリオが醸し出す音が、実にシンプルで深みがあって美しいことが最大の特徴。
ピアノレス・ドラムレスなので、強烈なアタック音が無く、ダイナミックで音圧の高い演奏は期待できませんが、逆に、音の重ね方、音の取り回し方によって、演奏の陰影、抑揚がセンシティブに変化して、とにかく滋味溢れる、実に小粋でシンプルで判り易い演奏が実に魅力的。日本人の感性にピッタリ合う感じで、日本人向けのトリオ編成と言って良いかもしれません。
このピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」というトリオ編成が、「ジャズ・スタンダード曲」を題材にした演奏にピッタリなのですね。「ジャズ・スタンダード曲」の曲の良さ、コード展開の良さを愛でるに相応しいトリオ編成だと言えます。
そんなTMDのアルバムの中で、僕が愛して止まないアルバムが『In Concert - Live At Tokyo opera City』(写真左)です。2009年10月23日、東京オペラシティ・リサイタルホールでのライブ録音。
このピアノレス・ドラムレスの「サックス+ベース+ギター」というトリオは、ライブでこそ、その個性が最大限に発揮される。
つまりは、ライブの一期一会のインタープレイにて、その個性が最大限に発揮されるのだ。特に、ミュージシャンとしては、持ち前のテクニックの高さが大前提となる。そして、その高いテクニックをベースに、お互いの音をしっかりと確認しながらの、高度なインタープレイを展開する。
音の重ね方、音の取り回し方によって、演奏の陰影、抑揚がセンシティブに変化するところが、ライブ演奏を聴くと、本当に良く判る。演奏のテーマに「ジャズ・スタンダード曲」をメインにするのは大正解。ピアノレス・ドラムレスなので、強烈なリズム&ビートが希薄で、音の間、リズムの間がとても効果的に響いて、演奏の芯の部分がクッキリと浮かび上がる。
穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」には、その雰囲気を壊さない、それなりのジャズ盤を流したい。決して、穏やかな時間の雰囲気を壊すこと無く、穏やかな時間を慈しむように流れていくジャズ。この東京銘曲堂(TMD)の『In Concert』というライブ盤は、そんな穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」にピッタリの演奏内容です。
我がバーチャル音楽喫茶『松和』で、穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」の一時を慈しんでいるジャズ者の方々は、絶対にこう言いながら、この盤のジャケットを見に来ますね。「マスター、この盤、なんていうアルバム?」。
大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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