音楽喫茶『松和』の昼下がり・10
2006年の初夏。iTMS(iTunes Music Store)をブラブラしていて見つけた。ジャズのコーナーの広告の画像を見て「可愛いな〜」。こんなに可愛い女の子がフュージョン・ジャズを、しかも、アルト・サックスやっているんや、と思いながら、彼女のアルバム一覧に行き着く。
でも、可愛いだけでは困る。彼女のアルトって、どれくらいのもんやろ、と思って、当時の最新アルバムの冒頭の曲を試聴してみる。当時の最新アルバムとは、小林香織『FIne』(写真左)。
試聴してみると、おおっ、意外とアルトをしっかり吹いているではないか。しっかりと吹ききっているので「アルト・サックスは管楽器の1種です」ということが良く判る。ブラスの輝きが、真鍮の輝きが、音を通じて判るのだ。これは管楽器を吹く者の基本中の基本。簡単そうに見えて、なかなか難しい。
そりゃ〜テクニックなど、細かいこと言うと色々あるんでしょうけど、ええんやないかな。アルトをしっかり吹ききって、しっかりとアルトの音、真鍮の響きを奏でているこのアルバムは、それだけで楽しいものだ。管楽器の音が良い音している、って大切なことだ。
ということで、即全曲ダウンロード。まずは冒頭の「キラキラ」という曲。この曲、とにかく爽やかで楽しい1曲だ。小林のアルトが奏でる出だしのフレーズが実にキャッチャーで印象的で楽しい。この出だしのフレーズ一発で、このアルバムの内容は保証されたようなもの。
ちょっとゆったりと、天気の良い昼下がりを散歩して歩いてるような、落ち着いた、それでいてワクワクするようなテンポで、爽やかにアルトのフレーズが駆け抜けていく。
バック・メンバーは、笹路正徳(kb)、村上"ポンタ"秀一(ds)、野村義男(g)、土方隆行(g)、日野賢二(b)、岡沢章(b)、カルロス菅野(perc)、さかいゆう(vo)。そして、スペシャル・ゲストとして、日野皓正(tp)。錚々たるメンバーが彼女をサポートする。いやはや、日本の腕に覚えのあるジャズメン大集合である(笑)。
なるほどね、ドラムスが、村上"ポンタ"秀一か。どうりで、ドラムのリズム&ビートが「只者では無い」筈である。タイトでガッチリとしていて、素晴らしいバランス感覚、加えて、実にハイテクニックなドラムには、思わず耳をそばだてる。このアルバムで、小林が気持ちよくアルトを吹ききっているのも、村上"ポンタ"秀一を始めとするリズム・セクションが優秀だからだと思われる。
晩秋の音楽喫茶『松和』の昼下がりに、晩秋の午後の陽射しを愛でながら、部屋の中で読書でもしつつ耳を傾ける。そんなシチュエーションにピッタリなアルバムかと思います。
とにかく、楽しくて爽やかで内容のある、上質のフュージョン・アルバムだと思います。難しいことは考えず、リラックスして聴いて欲しい、そんなアルバムです。
大震災から2年7ヶ月。決して忘れない。まだ2年7ヶ月。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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