音楽喫茶『松和』の昼下がり・1
昼ご飯時の喧噪が去って、人が少なくなる午後の昼下がり。僕はこの「午後の昼下がり」の時間帯が大好きだ。
晴れていれば、外は陽射しが一杯に振り注ぎ、室内は静かな時間が流れていく。雨が降っておれば、優しい雨音を聞きながら、室内は静かな時間が流れていく。そして、ジャズ喫茶のお店の中は、人がまばら。皆、本を読むか居眠りをするかで、午後の昼下がりの一時を潰している。そんな穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」の時間帯が僕は大好きだ。
そんな穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」には、その雰囲気を壊さない、それなりのジャズ盤を流したい。決して、穏やかな時間の雰囲気を壊すこと無く、穏やかな時間を慈しむように流れていくジャズ。それは、やはり純ジャズなジャズ・ギターの柔らかくて穏やかで優しい音がピッタリでしょう。
例えば、最近、良く流すアルバムが、John Abercrombie and Eddie Gomez『Structures』(写真左)。2006年11月の録音。ちなみにパーソネルは、John Abercrombie (g・写真右), Eddie Gomez (b), Gene Jackson (ds)。実にシンプルなトリオ構成。
このアルバム、目立ったキャッチャーな曲は無いんだけど、演奏全体の雰囲気は、モーダルな純ジャズで、3者3様、対等な立場に立ってのインタープレイが素敵なギター・トリオ。特に、ギターのジョン・アバークロンビーが、気持ちよさそうに弾きまくっている。
その気持ち良く弾きまくるアバークロンビーに絡むように、ベースのエディ・ゴメスが、これまたアコベの弾きまくる。この絡みが実に気持ち良い。そして、その絡みを支える様に、ジーン・ジャクソンのドラムが、これまた硬軟自在に叩きまくる。この3者3様のインタープレイが見事である。
アバークロンビーのエレギとゴメスのアコベの音が暖かく、とてもナチュラルに聴ける。ナチュラルすぎて、大人しい感じがして、ちょっと物足りなさも少々残る、なんて向きもあるが、どうしてどうして、録音が良いので、ナチュラルな演奏の中にも、しっかりと「芯」があって、最後まで飽きずに、楽しんで聴き通すことが出来る。
このエレギとアコベの暖かい音と、しっかりとアクセントになっているドラムのリズム&ビートとが相まって、演奏の「芯」をしっかり保持しつつ、実にウォームなインプロビゼーションになっている。これが、まあ、穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」にピッタリなのだ。
大向こうを張る、キャッチャーなフレーズやインプロビゼーションは無いけど、この盤の3者3様、対等な立場に立ってのインタープレイは結構聴きものです。特に、アルバム全体の柔らかでウォームな音は、耳に優しく、そして心に和む。
本を読むか居眠りをするかで、午後の昼下がりの一時を潰しているジャズ者の方々は、絶対にこう言いながら、この盤のジャケットを見に来ますね。「マスター、この盤、なんていうアルバム?」。
★大震災から2年5ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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