音楽喫茶『松和』の昼下がり・7
涼しくなった。今朝などは半袖では肌寒い。薄い長袖が欲しいくらい。いよいよ来週辺りから半袖は「蔵の中」かな。今年の夏は酷暑だった。9月に入っても、長く暑さが長引いた。やっと過ごしやすい季節、秋の到来を感じる。
過ごしやすい季節は、ジャズなどの音楽鑑賞や読書などに具合が良い。この季候の良い季節の昼下がり、読書しながら、お茶を飲みながら、耳を傾けるにちょうど具合の良いジャズは「ピアノ・トリオ」。
多々ある「ピアノ・トリオ」の中で、今回のアルバム選定のポイントは、バーチャル音楽喫茶『松和』のマスターがお勧めする「過ごしやすい秋の昼下がりにピッタリの、ちょっとマニアックな女性ジャズ・ピアニスト」です。
今日の「マニアックな女性ジャズ・ピアノ」は、大野智子。大野智子は、米国ニュージャージー州在住。NYと時々日本に里帰りして、現在も活動している女性ピアニスト。
1997年に遡る。ピアノ・トリオの特集を見ていて、このアルバムのジャケットを見て「おおっ」って感じで、ジャケ買いしてしまいました(笑)。良い意味でジャズのアルバムらしからぬ、なかなかビジュアルなジャケット で、これだけでも中身は保証されたようなもんで(笑)。
そのアルバムとは、大野智子『Powder Blue(パウダー・ブルー)』(写真左)。大野智子の初リーダー・アルバム。1997年のリリース。ちなみにパーソネルは、大野智子 (p), Joe Martin (b), Jorge Rossy (ds)。
女性ピアニストらしい優雅さに加えて、芯の通ったツブだちの良いタッチが特徴的で、ピアニストとしても確かなテクニックをしっかりと持っている。とにかく、ピアノの響きが綺麗なのだ。そして、それに寄り添うように、リズム・セクションも繊細に、それでいてテンション良く、しっかりと
大野のピアノをサポートする。
このアルバムの収録曲は全て大野のオリジナル。美しいメロディを持ったオリジナルが耳に心地良い。どの曲も3分30秒〜5分30秒程度の小曲で占められるのだが、そんな曲の長さのことなど気にならないほど、印象的な演奏ばかりなのだ。
この大野智子のトリオは、どちらかといえば、フュージョン系のピアノ・トリオで、もしかしたらインプロビゼーション部分も楽譜に落ちているかもしれない感じなのだが、そんなことは全く気にならない。それほど、それぞれの曲の旋律がとても印象的で、とても聴きやすい。
冒頭はリリカルで響きの印象的なピアノが素敵な「Shadows Of Spring」から始まり、2曲目の「Samba De Sorvete」は、その名のとおり、軽快なサンバのリズムに乗った疾走感溢れるトリオ演奏、 3曲目「Visa Fran Utamyra」は、フュージョンぽくて、しかし、そこはかとなくジャジーなスイング感溢れる演奏。この冒頭から3曲の雰囲気がこのアルバムの全てを語る。
このアルバムは、米国の西海岸フュージョン・ジャズの雰囲気に通ずるものがありますね。最近のフュージョン・ジャズって、無国籍っぽい、テクニック先行・聴き易さ優先の判りにくいアルバムがよくありますが、このアルバムは、個性がしっかりしていて、米国の西海岸の爽やかな風と眩しい太陽、っていう雰囲気が溢れています。
フュージョン・ジャズ系ピアノ・トリオの好きな方には無条件でお勧め。現在、廃盤で新品は手に入りませんが、中古品を取り扱うAmazon.co.jpなどで、意外と安価に手に入れることが出来ます。
大震災から2年半。決して忘れない。まだ2年半。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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