音楽喫茶『松和』の昼下がり・3
昼過ぎて、ちょっと時間の流れが緩やかに感じる午後の昼下がり。今日の音楽喫茶『松和』の昼下がりは、雨の日の昼下がり。
雨がしとしと降っている。その雨のせいか、ジャズ喫茶のお店の中は、人がまばら。雨音だけが室内に響き、そんな穏やかな時間がゆったりと流れていく「午後の昼下がり」の時間帯。そんな穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」には、その雰囲気を壊さない、それなりのジャズ盤を流したい。
雨の日の静かで穏やかな昼下がり。やっぱり、ここは「穏やかで優しいジャズ・ギター」が良い。今日はジム・ホールのエレギの音を愛でてみたい。
今をときめく人気No.1ギタリストのパット・メセニー。このNo.1ギタリストが、敬愛してやまない、お気に入りのギタリストが、この「ジム・ホール」。この「ジム・ホール」、そもそもリーダー作が少なく、それゆえ、ギタリストとしては地味な存在。
例えば、パット・メセニーの若いファンの中でも、この「ジム・ホール」の名前を知らない方が多い。しかしながら、パットのファンであれば、先にご紹介した『It's Nice To Be With You - Jim Hall in Berlin』(7月15日のブログ・左をクリック)を聴けば、なぜ、パットがジム・ホールの大ファンなのか、至極、納得いく方が多いのではないか。
ギター・シンセサイザーなどを駆使した「派手な」メセニーを聴けば「?」だが、6玄ギター1本で、シンプルに、かつ、鯔背に弾きこなすメセニーのギターの音を聴けば、いかに、メセニーが、この「ジム・ホール」を尊敬し、アイドルとしてきたかが良くわかる。
このメセニーお気に入りのギタリストであり、敬愛してやまない先輩ギタリストである「ジム・ホール」とのデュオがこのアルバム『Jim Hall & Pat Metheny』(写真)である。
このデュオ・アルバム、先にジム・ホールの名前が先に来ているが、単にパットより先輩で、パットの敬愛するギタリストなので、先に名前を譲っているわけではない。このアルバムでは、明らかにジム・ホールが、パットをリードし、圧倒しているのだ。
そりゃあ、パットだって黙っちゃいないが、要所要所ではジム・ホールがビシッときめて、ぐいぐい、パットを引っ張っている。そして、パットは、敬愛する「先生」であるジム・ホールの後を神妙についていく。そして、パットはその卓越したテクニックと歌心で、ジム・ホールのギターをしっかりとバッキングする。
とにかく全編美しく、時に幽玄、時にダイナミックに、時に緩やかに、時に静謐に、ジャズ・ギターの全てのテクニックと美しさが、このデュオに凝縮されている。このアルバムに詰まっている、ジム・ホールとパット・メセニーの「穏やかで優しいジャズ・ギター」の音が、雨の日の静かで穏やかな昼下がりにピッタリ。
でも、単に「穏やかで優しいジャズ・ギター」で留まってはいませんぜ。聴き耳立て出したら、終わりまで一気に聴き通してしまうくらい、ジム・ホールとパット・メセニーも適度なテンションを張りながら、結構、硬派な純ジャズ・ギターのフレーズを弾きまくっています。
★大震災から2年5ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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