音楽喫茶『松和』の昼下がり・2
昼ご飯時の喧噪が去って、人が少なくなる午後の昼下がり。ジャズ喫茶のお店の中は、人がまばら。皆、本を読むか居眠りをするかで、午後の昼下がりの一時を潰している。そんな穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」の時間帯。そんな穏やかな時間が流れていく「午後の昼下がり」には、その雰囲気を壊さない、それなりのジャズ盤を流したい。
今日は、これ。岡安芳明『Beautiful Friendship』(写真左)。これは良い。ウォームで穏やかで柔軟な、ジャジーな雰囲気満載のジャズ・ギターが実に良い。2012年9月の録音。ちなみにパーソネルは、岡安芳明 (g), 香川裕史 (b), 高橋幹夫 (ds)。岡安のレギュラー・トリオである。
さて、リーダーのギタリスト「岡安芳明」とは誰か。1962年7月生まれ。ということは今年で51歳。う〜ん、僕よりも年下かあ。僕も歳をとったもんやなあ、とぼやいてみる(笑)。チャーリー・パーカーとウェス・モンゴメリーを聴いてジャズを志した、とある。見上げた心がけであり、それを実現するんやから全く凄い。
ウェスによってジャズ・ギターに開眼した岡安ではあるが、彼のジャズ・ギターのスタイルは「ケニー・バレル」である。このバレルを踏襲した岡安のギターが実に良い雰囲気だ。バレルのスタイルを踏襲するジャズ・ギタリストはそう多く無い。岡安は貴重な存在だ。なるほど、このアルバムのウォームで穏やかで柔軟な、ジャジーな雰囲気のギターは、バレルのスタイルの踏襲からくるのか。
そして、使用されているエレギが「Gibson Super 400」で暖かく柔らかい雰囲気が素晴らしい。そして、アコギは「ヤイリのフォークギター」で細やかで滑らかで耳に優しい。この2台のギターを駆使して、ウォームで穏やかで柔軟な、ジャジーな雰囲気を醸し出している。
アルバムの収録曲もなかなか考えられた選曲で実に渋い。有名なスタンダードもあれば、ちょっと渋めの知る人ぞ知る感じのスタンダードもある。
そんな中でも、Vernon Dukeの名曲として名高い「Autumn in New York」(これ僕の大のお気に入り)、「Gibson Super 400」の暖かく柔らかな音でハードボイルドに迫る「Round Midnight」、ベースによるメロディからソロに入る、アレンジの勝利「You'd Be So Nice to Come Home to」など、思わず聴き入ってしまう演奏が満載。
加えて、このアルバム、全部で50分弱ですが、この長さが良い効果を出してくれています。「聴いていて長く感じず、躊躇わず繰り返し聴ける」。
最近、60〜70分収録の長時間のアルバムが多くて、ちょっと閉口するんですが、このアルバムの「全部で50分弱の長さ」が実に良い。なにも収録時間の長さ、収録曲の多さがアルバムの価値・評価に直結しないとは思うんですが、僕はこのアルバムを聴いて「その意」を強くしました。
派手派手しい立ち回りとは全く無縁の、ウォームで穏やかで柔軟な、ジャジーな雰囲気満載のジャズ・ギターによるスタンダード集は聴きものです。特に、バレルを踏襲したジャズ・ギターによるハード・バップな演奏は耳に和みます。子犬をあしらったジャケットも可愛い。良いジャケットです。
本を読むか居眠りをするかで、午後の昼下がりの一時を潰しているジャズ者の方々は、絶対にこう言いながら、この盤のジャケットを見に来ますね。「マスター、この盤、なんていうアルバム?」。
大震災から2年5ヶ月。決して忘れない。まだ2年。常に関与し続ける。
がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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