『Getz / Gilberto』生誕50周年
やはり夏はボサノバである。2ヶ月ほど前、CDショップのメールに、こんな文字が躍っていた。「ボサノバの永遠の名盤『Getz / Gilberto』誕生から50年。伊藤ゴローを中心に、総勢19名の豪華ミュージシャンが愛を込めてカバー」。
ほほう、あの『Getz / Gilberto』(写真右)がリリースされて半世紀になるのか。僕は、この『Getz / Gilberto』については、ジャズを聴き初めて、かなり早い時期に出会っている。ジャズを聴き始めて3年位の頃かなあ。大学3回生の頃だったと記憶する。
ユルユルのリラックス感抜群の、それでいて適度にテンションが張った、聴き心地良く、聴き応えのある演奏が印象に残った。「ボサノバ」という音楽ジャンルを、ジャズを通して世界に知らしめた記念碑的アルバムであり、ボサノバとジャズの相性が抜群なことを証明したアルバムでもある。
その『Getz / Gilberto』生誕50周年を記念してリリースされたカバー・アルバムが『Getz / Gilberto +50』(写真左)。この夏、イチ押しのボサノバ・ジャズのアルバムである。
7曲目の「オ・グランジ・アモール」のみが、ジャキスのチェロをフィーチャーしたインストゥルメンタル。他はそれぞれ、メインのボーカリストをフィーチャーしたもの。土岐麻子、布施尚美、坂本美雨、原田知世など、女性ボーカル陣は、個性派なボーカリストがズラリと並ぶ。男性陣は、何と言っても、細野晴臣がボーカルを取っているのが印象的。
ちなみに、細野さんは、ポルトガル語で歌っている。加えて、9曲目の「イパネマの娘」日本語ヴァージョンの歌詞は、アストラッド・ジルベルトの幻の作品「ゴールデン・ジャパニーズ・アルバム」が出典とのこと。いや〜結構、細部に渡って気配りされた、なかなか隅に置けないカバー集です。
収録曲とそれぞれの曲のパーソネルは以下の通り。
1. イパネマの娘 : 土岐麻子(vo)
菊地成孔(ts) 山下洋輔(p) 鈴木正人(b) 栗原務(ds) 伊藤ゴロー(g)
2. ドラリッシ : 布施尚美(vo)
菊地成孔(ts) 坪口昌恭(p) 秋田ゴールドマン(b) みどりん(ds) 伊藤ゴロー(g)
3. プラ・マシュカール・メウ・コラソン : 細野晴臣(vo)
清水靖晃(ts) 坂本龍一(p) 伊藤ゴロー(g)
4. デサフィナード : 坂本美雨(vo)
清水靖晃(ts) 山下洋輔(p) 鈴木正人(b) 栗原務(ds) 伊藤ゴロー(g)
5. コルコヴァード : カヒミ・カリィ(vo)
清水靖晃(ts) 坪口昌恭(p) 鈴木正人(b) 栗原務(ds) 伊藤ゴロー(g)
6. ソ・ダンソ・サンバ : TOKU(vo)
菊地成孔(ts) 坪口昌恭(p) 秋田ゴールドマン(b) みどりん(ds) 伊藤ゴロー(g)
7. オ・グランジ・アモール
ジャキス・モレレンバウム(cello) 坂本龍一(p) 鈴木正人(b) 伊藤ゴロー(g)
8. ヴィヴォ・ソニャンド : 原田知世(vo)
坪口昌恭(p) 秋田ゴールドマン(b) みどりん(ds) 伊藤ゴロー(g)
9. イパネマの娘(日本語ヴァージョン) : 沖樹莉亜(vo)
ボーカリスト陣のそれぞれの出来は良く、バックの演奏陣も、なかなかハイレベルなボサノバ・ジャズのバッキングを展開しています。ボーカル良し、演奏良し。『Getz /Gilberto』のカバーアルバムながら、なかなかに優れていて濃い、内容のあるアルバムに仕上がっています。聴き応え満点です。
そして、ちなみに、このカバー集のジャケットの絵は、あの『Getz / Gilberto』と同じく、プエルトリコ出身の女性画家オルガ・アルビズ(1924〜2005)の作品とのことです。オリジナルの『Getz / Gilberto』と良く似ていますが、よく見ると、絵は全く違います。
夏はボサノバ。今年のボサノバ・ジャズの新譜の中で「イチ押し」の内容の盤です。ボサノバ・ジャズのお好きなジャズ者の方々にとっては、手に入れて全く後悔の無い、優れた内容のカバーアルバムです。
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