夏はボサノバ・ジャズ・その18 『George Shearing Bossa Nova』
京都の大文字の送り火が終わり、お盆を過ぎて、少しずつ日が短くなっているのを感じ、そして、真夏に無い、朝夕の吹き抜ける風を感じると、「ああ、もう今年も夏は終わりやなあ」としみじみしてしまう。一昨日くらいから、朝夕、少し風が吹き抜けるようになって、ゆく夏を送るという感じになってきた。
晩夏の季節も、やはり「夏はボサノバ」である。ボサノバのノンビリ、ホンワカ爽やかな雰囲気は、晩夏のちょっと物寂しい季節にもピッタリとフィットする。
米国のウエスト・コースト系クール・ジャズを代表する盲目のピアニスト、ジョージ・シアリング。「ラウンジ・ピアノ」とも形容される、彼の小気味よいタッチと流れるようなフレーズが、意外と僕は好きだ。まあ、日本ではあまり評価されていないというか、話題に上らないというか、どうしても日本では、ウエスト・コースト系のジャズメンは分が悪い。
シアリングは、作曲家としても優れていて、大スタンダードな「バードランドの子守歌」を始め、「コンセプション」など有名曲をつくっています。2011年2月に惜しくも鬼籍に入ってしまいました。享年91歳。
さて、そんなジョージ・シアリングがボサノバ・ジャズに手を染めたアルバムがあります。タイトルが『George Shearing Bossa Nova』(写真左)。CAPITOLレコードからのリリース。1963年の作になります。1963年と言えば、ボサノバ・ジャズのブーム、真っ只中。クール・ジャズを代表するピアニスト、ジョージ・シアリングまでもが、ボサノバ・ジャズに手を染めさせた訳です。
ジョージ・シアリングの洒落たボサ・ノヴァ・アルバム。アレンジはクレア・フィッシャー。「ラウンジ・ピアノ」の代表格、ジョージ・シアリングのピアノがボサノバ・ジャズに良く似合う。ボサノバ独特のフレーズが、ストリングスをバックに、クッキリと浮かび上がる。
一聴しただけでは、ストリングスのアレンジが、とてもポップで、少しばかり甘ったるくて、イージー・リスニングの様な風情に、ちょっと戸惑うが、主役のジョージ・シアリングのピアノが、イージー・リスニングなバックに流されること無く、しっかりとジャジーなので、このボサノバ・ジャズ盤は、ギリギリではあるが、ジャズのアルバムとして成立している。
収録された曲は、どの曲も魅力的なものばかり。お馴染み「 One Note Samba (Samba De Una Nota So)」や「Desafinado」「Samba Da Borboleta (Butterfly Samba)」「Manha De Carnaval (Morning of the Carnival)」など、ボサノバの定番曲から、ボサノバなアレンジがぴったりとフィットするスタンダード「On Green Dolphin Street」など、ソフィスティケイトされたアレンジが素敵な演奏がギッシリと詰まっています。
イージーリスニングな演奏の中に佇む、ジョージ・シアリングの、ポップではあるが、しっかりとジャジーなピアノ。とてもポップで、少しばかり甘ったるいアレンジのお陰で、もはやこの演奏はボサノバとしては成立しないけど、ライトなボサノバ・ジャズとしては、なかなかの内容ではないかと思います。
ちょっと甘いけど、ジョージ・シアリングの「ラウンジ・ピアノ」を愛でるにピッタリな「ボサノバ企画盤」だと思います。
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